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能登半島地震 観測できなかった津波データ 極めて異例な現象を目撃【バンキシャ!】

2024年1月10日 2:27
能登半島地震 観測できなかった津波データ 極めて異例な現象を目撃【バンキシャ!】

能登半島地震で街を襲った津波。その高さは気象庁が観測した数値よりも大幅に高かった可能性が指摘されている。正しいデータが取れなかった理由として、極めて異例な現象が起きていたことがわかった。【バンキシャ!】

5日、バンキシャは石川県・能登町へ。

バンキシャ
「がれきで道が塞がっています。そして海沿いですが、建物が流されています。水につかっています」

海沿いにあるこの地域(能登町白丸地区)を襲った津波。流れ着いた木や車、辺りには津波の爪痕が、大きく残されていた。

自宅が津波の被害 縁山孝夫さん(73)
「あそこに建物があって。屋根が(波を)かぶったんですよ。ダメだと思って車で逃げた。まさかこんなになるとは思わなかったね」と話した。

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自宅が津波の被害に遭ったという男性は、地震が発生したとき、家には孫たちが遊びに来ていた。中学2年生と小学6年生、そして小学2年生の孫を連れ、車で避難しようとした、そのとき――

津波に巻き込まれた 坂元親夫さん(60代)
「津波が来たから、ダメだと思って、『一番奥の部屋に入れ』っていれた。そうしたらここを突き破って、(津波が)一気に入ってきた」という。

地震からおよそ20分後。津波は瞬く間に身長ほどの高さに達し、男性と2人の孫はなんとか水面から顔を出せたが…

津波に巻き込まれた坂元親夫さん(60代)
「小学2年の孫が見えなくて、慌ててこうして捜したら、たまたま手に掛かった。これだと思って慌てて引き上げて、それで人工呼吸して。もう意識がない状態で、口から泡を吹いて、ほっぺをたたいて。『大丈夫か大丈夫かって』また人工呼吸したら目が開いたので『良かった助かった』って。九死に一生です。孫の命を助ける一心で」

――自宅を襲った津波は、どれほどの高さだったのか?

津波に巻き込まれた坂元親夫さん(60代)
「あ、これですね。ここまで来てますね」

男性の身長はおよそ165㎝。残された痕跡からすると、津波は地面から2m以上に達していたように見える。この地域(能登町白丸地区)の海抜は1.6mだ。津波は4mに迫る高さだった可能性がある。

しかし今回の地震では、1.2mまでしか津波を観測できなかった。なぜなのか?実は、津波の観測点で、あることが起きていた。

石川県珠洲市にある地震前の津波観測点。海岸線を見てみると、地震後に周辺が陸地になっていることがわかる。実は、この一帯では、地震直後に大規模な地殻変動が発生した。その影響で地盤が隆起し、海底が露出してしまった。

この観測点では、電波を海面に当てることで、津波の高さを測定していた。しかし地盤が隆起し陸地になったため、津波を測れなくなってしまった。国土地理院によると、こうした地盤の隆起は、主に能登半島北西部の沿岸で起きているという。

6日、バンキシャが、その北西部(石川県輪島市鹿磯地区)に向かうと…

バンキシャ
「波消しブロックの前に水はいま、ありませんね。だいぶ離れたところに波打ち際があります」

かつて海だったところが新たな砂浜になっていた。東京大学地震研究所によると、浅瀬が隆起したことで、海岸線までがおよそ250m広がったという。さらに――

バンキシャ
「こちら、港なんですが、水がないですね。海底でしょうか」

この漁港(輪島市)では、海底だった場所が歩ける状態になっていた。東京大学地震研究所が調査したところ、3.9mほど(推定値)の隆起が確認されたという。

こうした異常な事態に、地元の人は――

地元の人(87)
「船が入れない。何はともあれ。いままでイカ釣り船も来てたけど、おそらく今年からは来られないでしょう。どうしたらいいか・・・。どうにもならないと思いますよ」と話し、海を見つめていた。

*1月7日放送『真相報道バンキシャ!』より