国に「最大100億円預ける」。こう明らかにした、いわゆる“統一教会”の田中会長。「元信者らへの補償に備えて…」と説明しましたが、会見を見た元信者らが『news zero』に訴えたことは。

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7日午後2時ごろ、約1年3か月ぶりに会見の場に姿を見せたのは、いわゆる“統一教会”日本法人のトップ、田中富広会長。その横には、勅使河原秀行改革推進本部長がいました。

“統一教会”日本法人　田中富広会長
「本日はお越しいただき誠にありがとうございます」
「心を痛めておられるみなさま、また、つらい思いをしてこられた2世圏のみなさま、そして国民のみなさま方に改めて、心からおわびいたします」

冒頭、まずは「9秒」にわたって頭を下げ、“おわび”した2人。しかし…

――なぜこのタイミングで会長本人が会見を？

“統一教会”日本法人　田中会長
「今回私が（会見に）出るようになったのは『解散命令請求』がでたことです。あまりにも受け入れ難い展開であったことが一番大きかった」

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安倍元首相の銃撃事件をきっかけに、「霊感商法」や「高額献金」といった教団をめぐる問題が表面化しました。政府は先月、教団に対する解散命令を東京地裁に請求しましたが…

“統一教会”日本法人　田中会長（7日の会見）
「到底受け入れることはできません」

日本の教団トップの田中会長自らが、あらためて争う姿勢を示しました。そして「フリップでご説明させていただきます」と田中会長が言うと、突然フリップが登場。それも1枚ではなく、少なくとも8枚も…。

教団は銃撃事件以来、「664件・総額44億円にのぼる献金の返金要請に応じてきた」と明かし、解散命令請求の要件にはあたらないと主張しました。

“統一教会”日本法人　勅使河原改革推進本部長
「組織的に改革を行ってその結果、献金トラブルもほとんどなくなるような状態になっているわけですから悪質とは到底言えない。従って組織性・継続性・悪質性はいずれもない」

“統一教会”日本法人　田中会長
「確かに過去、当法人の信者の中に社会通念から見て行き過ぎた行動をしてしまったことはあったかもしれません。ただそれも、決して私利私欲を求めて行動したものではなく、ご本人なりに相手のためを思って行ったことと信じております」

そして「教団が海外に資産を移すのではないか」との指摘があがっていたことについては「海外に移転する考えはない」と強調し、今後、被害補償が必要になった場合に備え、教団の資産から最大100億円を国に預ける考えを示しました。

“統一教会”日本法人　田中会長
「それでもご不安をお持ちの方々のために、当法人からは“特別供託金の提案”をさせていただきます」

今後、被害補償が必要になった場合に備え、教団の資産から最大100億円を国に預ける考えを示した田中会長。会見中、“避け続けていた言葉”がありました。

“統一教会”日本法人　田中会長
「『被害者』という言葉は簡単に使わないようにしています。『被害』請求すべてが…いわゆる『献金返済請求』、すべてが被害であるということは私たちは受け入れ難いものがある」

――「被害者」ということにどうも抵抗があるそうですが…

“統一教会”日本法人　田中会長
「すでに裁判が始まり、裁判の中でこれ（被害者）が確定されていくからです」

――被害者という認識を持たないまま「先にお金を用意します」と、100億円の話ですけど、社会通念上失礼な話だと思うんですが…

“統一教会”日本法人　田中会長
「被害者も不明確で、被害額も不明確で、いま国会で“財産保全措置”が語られている。こちらの方が私たちは理解できない」

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会見を、元信者らはどう見たのか。2006年から2013年まで信者だったという鈴木さん（仮名）は…

“統一教会”元信者　鈴木さん（仮名）
「なんかパフォーマンスだなと思いました。自分たちは悪くないっていうのが伝わってきまして」

総額約500万円を教団に使った鈴木さん。“統一教会”で購入した着物について「これを買わないとあなたの先祖は一生霊界で苦しんだまま地獄にいることになるからと」と話します。教団を抜けるときに返金を求め、一部は返金してもらえたといいます。

“統一教会”元信者　鈴木さん（仮名）
「最初は『30万円じゃだめか』って言ってきたんですよ。『嫌です』って断ったんですよ、『もっと返してください』って。もう一度話し合う場がきて『120万円でどうですか』って。全然納得いってないんですけど、精神的に弱ってたんで…。返していただきたいですね全額」

また、元妻が信者で、約1億円の高額献金などが原因で家庭が崩壊したと訴える、橋田達夫さんは…

元妻が1億円以上献金　橋田達夫さん
「僕たち被害者に対して、全く被害だと思っていない感じですね」

元妻の献金には橋田さんのお金も使われていて、いまも教団に返金を求めています。教団は会見で“返金の申し出には1件1件誠意をもって対応してきた”としましたが…

元妻が1億円以上献金　橋田達夫さん
「今年の当初から請求を起こして、それに対して『そういう事実は確認できません』と手紙が来て、それで終わりです。会いもしない、電話もかかってきません。解散命令請求をどうして出されたのか、そこをきちんと把握してほしい」

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被害者の救済に取り組む弁護士は会見について、教団に“ある狙い”があったと指摘します。

全国統一教会被害対策弁護団　阿部克臣弁護士
「先月に解散命令請求が出されて、それにとどまらず財産保全の法整備が国会で議論されている。大きな今後の活動に制約を受けるという可能性が出てきますから、財産保全の法整備を何としてでも避けたいっていうのは、動機としてあると思う」

また、国に預ける考えを示した「最大100億円」について、教団側は想定される被害に“十分対応できる額”としていますが…

全国統一教会被害対策弁護団　阿部克臣弁護士
「（教団が）活動に支障のない範囲とはじき出した金額が100億円。被害者救済にとって必ずしも十分ではない」

（11月7日放送『news zero』より）