「あの謝罪は本当に形だけだった」 元自衛官の女性への性暴力…5人中4人が争う姿勢 国側は加害認める
陸上自衛隊内で性暴力を受けたと訴えた元自衛隊の五ノ井さんと元隊員ら5人との裁判が始まりました。5人のうち1人は和解を申し出た一方、4人は争う姿勢を示しました。五ノ井さんは「あの謝罪は本当に形だけだった」と悔しさをにじませました。
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14日午後4時半ごろに開かれた会見で、陸上自衛隊内で性暴力を受けたと訴える、元自衛官の五ノ井里奈さん(23)は憤りをあらわにしました。
性暴力を受けたと訴える元自衛官の五ノ井里奈さん(23)
「許しがたい答弁書が来ました。本当にひどい答弁書を出してきた。あの謝罪は何だったんだろう」
「すごく、えー…、おかしいと思っています」
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裁判は横浜地裁で始まりました。
五ノ井さんは「性暴力を受け、精神的苦痛を受けた」などとして、元先輩隊員の男性5人と国に対し、合わせて750万円の損害賠償を求めています。
五ノ井さんは、東日本大震災で被災した際に支援してくれた女性隊員に憧れ入隊しました。しかし――
性暴力を受けたと訴える元自衛官の五ノ井里奈さん(去年12月)
「セクハラを超えた性暴力を受けました。男性隊員は私に覆(おお)いかぶさり、股(また)を広げて何度も腰を振る行為をしてきました」
訴状によると、2020年9月から2021年8月ごろまでの間、性暴力やセクハラを日常的に受けたといいます。心身に不調を来すようになり、退職せざるを得なくなりました。
その後、被害を訴えると――
性暴力を受けたと訴える元自衛官の五ノ井里奈さん(去年10月)
「直接、謝罪を受けました。土下座して私の方に謝罪しました」
土下座で謝罪され、涙を流す人もいたといいますが、迎えた14日の第一回口頭弁論では、元隊員のうち1人は事実関係をおおむね認め、和解を申し出た一方、残る4人は請求を退けるよう求め、争う姿勢を示しました。
4人が事実関係を認めなかったことについて五ノ井さんは――
性暴力を受けたと訴える元自衛官の五ノ井里奈さん(23)
「言葉に言い表せないくらい悲しいというか悔しさ、怒り、いろいろな気持ちがあったんですけど、やっぱりあの謝罪は本当に形だけだったんだなって」
「もし彼らの奥さんや子供たちが同じようなことをされたら、同じようにこんなひどい答弁書を渡してくるのかって、本当に許せない気持ちになりました」
「あった事実はしっかり証言したいと思っていますし、私は逃げずに諦めずに戦うつもりです」
一方、国側は、元隊員らによる加害行為があったことは認めた上で、国の責任などについての主張をより明確にするよう求め、請求に対する答弁を留保しました。
五ノ井さんは国に対し、このように訴えます。
性暴力を受けたと訴える元自衛官の五ノ井里奈さん(23)
「本当に職場環境を変えてほしい。隠蔽(いんぺい)体質が結構あると思っているので、もし相談された上司の方は、しっかり上の人にすぐ報告する。今も現役の自衛官の方で、ハラスメント等で苦しんでいる方がたくさんいるので、早く組織内の環境をハラスメントのないような環境にしてほしい一心です」
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有働由美子キャスター
「辻さんはどう思われますか?」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(『news zero』パートナー)
「こうやって五ノ井さんが勇気をもって戦われている姿を見て、同じように傷ついている方たちが本当にたくさん励まされていると思います。私自身が性被害の相談をこれまで受けてきた中で感じるのは、被害者側の負担ばかりがとにかく大きいことです。すでに傷ついているのに、たとえば通報するにも、告発するにも、本人が矢面に立ち続けなければできない、本当にエネルギーがいることですし、中には二次被害を受けることもありますよね。でも一方で、明るみに出さなければ、加害者は変わらず日常を送り続けるわけで、被害者側がその板挟みに苦しまないような受け止め方を社会全体で、本当に私たちも一緒に考えていく必要があると思います」
(6月14日放送『news zero』より)