【解説】埼玉県立高校“共学化” 賛否ある中、県は「主体的に推進」 当事者は?
埼玉県で県立高校の男子校・女子校を共学化するかどうかが議論されています。県教育委員会は「主体的に共学化を推進していく」という方針の報告書をまとめました。公立校の共学化について、整理します。
全国の公立高校の男女別の学校数の推移を示したグラフを見ると、1984年度には男子のみの高校は137校、女子のみは197校あったのが、約40年後の2023年度には男子のみが15校、女子のみが30校と減っていることが分かります。
こうしたなかで埼玉県が22日に明らかにしたのが、県内にある12校の県立男女別学校を「主体的に共学化を推進していく」という方針です。
この方針を出した発端は、「県立の男子高校が女子の入学を拒むことは不適切だ」との苦情でした。それを受けて、埼玉県の第三者機関が県立の男子校と女子校について、「共学化」すべきと県教育委員会に去年8月に勧告していました。
県教育委員会はこの勧告を受けて、当事者である中学生や高校生などにアンケートを実施しました。
中学生は「共学化した方がよい」と「しない方がよい」がそれぞれ同程度、高校生は全体の6割ほどが「共学化しない方がよい」と回答していました。
7月、共学化に反対する高校生が県教育委員会に署名と要望書を提出しました。署名は3万4461人分あり、提出した人の中には次のような意見もありました。
共学化に反対
「中学で嫌な経験とか色々あったんですけど、女子校に来て私は現に救われています。別学校を選ぶのも権利ということを、ずっと守っていきたい」
県が行ったアンケートでも、共学化の反対意見として、「異性への苦手や恐怖心を持つ生徒が安心できるから」の他に、「男女共学・別学の両方を選択できた方がよい」「共学化すると男女別学校の伝統や雰囲気が失われてしまう」といった声が寄せられていました。
一方で共学化に賛成する中学生の意見で多かったのは、「社会に出た時に異性とコミュニケーションがとれないと困る」「恋愛や青春をしたい」という声でした。
街の人にも話を聞きました。
共学化に賛成
「男女きちんとふれあう、意見も言い合う。その方がお互いいいんじゃないかな、将来的に」
“共学化に反対” 共学校に通う高校生
「埼玉県は男子校の文化祭がすごく盛り上がって、共学と比べても入る人が多い。(自分は)男子校に行こうとしていた」
――今は共学だが後悔は?
“共学化に反対” 共学校に通う高校生
「後悔はない。入ったら入ったなので、住めば都」
鈴江奈々キャスター
「『住めば都』という言葉もありましたけど、それぞれの環境で皆さん、楽しんでいると思うので、色々な意見もあるでしょうね」
山崎誠キャスター
「様々な意見があるなかで、埼玉県教育委員会が示した『主体的に共学化を推進していく』という方針。具体的な時期などは示されませんでした。桐谷さん、いかがですか?」
桐谷美玲キャスター
「私は中高は共学で、大学は自分で決めて女子大に行きました。行きたい、学びたいの選択肢があることが私はいいのかなと思いました」
陣内貴美子キャスター
「私は、高校は女子校でしたけど、今は共学になっています。共学化の動きもあると思いますが、一番は子どもが行きたい場所かどうかだと思うので、子どもたちの意見をよく取り入れたなかで共学化するかどうかを考えてほしいです」
森圭介キャスター
「そもそも少子化で学生を集めることが難しくなったから共学化するという流れがあると思います。それは理解できるし、LGBTの観点からも共学化の流れは納得できるんです。私は埼玉県民でまさに男子校を志望していたので、伝統を重んじて『あの高校に行きたい』という気持ちはとてもよく分かります」
山崎キャスター
「本当に様々な意見があると思います。県教育委員会は男女別学のニーズを理解した上で、県民の意見を把握していくために今後、アンケートや意見交換などを実施していくとしています」