「下着の色」まで……恐怖のブラック校則 「女子は必ず前髪を」「ハート禁止」も 専門家「モラハラです」【#みんなのギモン】
そこで今回の#みんなのギモンでは、「下着の色まで…不安な“校則”」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。
●「下着の色」なぜ校則で?
●“ブラック校則”いまだに…どう直す?
「この4月、学校生活へ新たな一歩を踏み出したお子さんやお孫さんは多いと思いますが、生徒手帳などに書いてある校則を見てビックリ、『これいわゆる“ブラック校則”なんじゃないの?』と戸惑う親子がいるようです。校則に疑問を持ったことはありますか?」
桐谷美玲キャスター
「肩より長い髪は結ばなきゃいけない校則があって、めんどくさくて切っちゃいました」
鈴江奈々アナウンサー
「私の学校でも頭髪検査が定期的にあって、毎回びくびくしていました」
小野解説委員
「日本テレビの情報提供サイトに、投稿を寄せてくれたお母さんがいます。この春、宮崎・都城市の中学校に入学した生徒の母親です。入学前に送られてきた説明資料を読んで驚きました」
母親
「『シャツ・セーラー服の下に着る物は白・黒・紺・グレー・ベージュの単色とする』と書かれていて、さらに色の下に黒のアンダーラインが引かれています」
「しかも、『学生服・セーラー服から見えないようにすること』と書かれているにもかかわらず、色の指定をしていることに、セクハラにあたるのではないかという思い(がありました)。『検査』という名で確認作業をされるのでは、という思いがすごく強かった」
小野解説委員
「この母親は強い恐怖心を感じたそうです。この校則の文言を見てどう思いました?」
桐谷キャスター
「見える部分じゃないのに、ここまで指定される必要はあるんですかね?」
小野解説委員
「この母親は下着の色が指定されていることはもちろん、知人のお子さんが学校で下着の確認が行われたと聞いたことがあり、検査という名で下着を確認されるんじゃないか、と不安を抱いていたんです」
小野解説委員
「下着の色を決める校則にどんな問題点があるのか、学校の教育問題などに詳しい、日本大学文理学部の末冨芳教授に聞きました」
末冨教授
「今どき古いなという感じはしますけどね。かなり、学校側もリスクを認識しておられないんだなって思います」
「それは文部科学省の生徒指導提要ですとか、今、子ども自身の権利・尊厳を実現してくださいと書いてあります。当然、子どもの権利侵害にあたる校則は直ちになくさなければならない状況にあります」
鈴江アナウンサー
「生徒の皆さん、恥ずかしい思いをしたり傷ついたりする方もいるでしょうし、意思が尊重されていないことは問題だなと思います。この校則は何のためにあるんですかね?」
小野解説委員
「末冨教授も、下着の色を指定するような校則は、子どもの人権・尊厳の侵害だとはっきり指摘しています」
「さらに、全国の5697人の中高生が答えたStudyplusトレンド研究所の調べ(2023年1月)によると、香川県の女子中学生は『下着の色を異性の先生がチェックするのはおかしい』と訴えています。こういうことが行われているのかもしれません」
「同じ調査で、福岡県の女子高校生は『男性の先生がいる前で検査を行う』と明かしています」
忽滑谷こころアナウンサー
「想像するだけでゾッとします。逆に先生側もやりづらさがないのか、どんな気持ちでこの校則をチェックしているのか気になりますね」
小野解説委員
「末冨教授は、『下着のチェックは性犯罪にあたる可能性があり、先生たちもそういったリスクを背負うことになるため、直ちにやめる必要がある』と話しています」
森圭介アナウンサー
「古い価値観に基づく校則ですから、昔からあったと予想されますが、教師側が『もうちょっとこれ、やめた方がいいんじゃないか?』という話にはならなかったのかな?と思いますね。学校側はどういう認識だったんですかね?」
小野解説委員
「下着の色を指定している学校のある都城市の教育委員会に取材しました。下着の色の指定については『華美にならないものにしたいなどの視点から、現在の色の指定になっています』という答えでした」
「『下着』という文言については『学校ではワイシャツなどの下に着る肌着のことを下着と表現していて、パンツやブラジャーのことではありません。あくまで肌着に関する校則です』という回答が来ました」
忽滑谷アナウンサー
「全然納得できなくて…。肌着だろうが下着だろうが、それを決められるというのはちょっとおかしい気がしますよね」
小野解説委員
「肌着だったとしても、見えない部分の色を指定していることに変わりはありません。ただその後、生徒と教員が新年度に向けて本当に必要かを話し合ったそうです。その結果、下着の色の指定は、この春に廃止されたそうです」
「また、『都城市で肌着の色の検査を行っている学校は現在のところありません』ということでした」
鈴江アナウンサー
「同じく下着指定があった学校を取材したことがあります。先生たちも、その校則がいつできたのか、どうやって変えるのかも分からず、戸惑いながら放置していたという声もありました。時代に合わないものをなかなか変えづらい状況にあるのかもしれませんね」
小野解説委員
「ブラック校則をどう直すかについて考えます。Studyplusトレンド研究所の全国調査では、アンケートに答えた中学生の4人に1人が『下着の色などの指定がある』と答え、高校生の4人に1人が『地毛証明書の提出が求められる』としています」
「この証明書は、生まれつきくせ毛の生徒がパーマなどをかけていないことを証明するものです。他にも、これはおかしいと思うような校則があります。日傘は許可制、日焼け止め禁止、男女2人きりで勉強禁止、文化祭でハート禁止というものも…」
森アナウンサー
「我々の世代は、風紀が乱れるという謎の一文によって、不純異性交遊などが禁止されていましたけど、それをいまだに引きずっている感じはしますよね」
小野解説委員
「男子はこうあるべき、女子はこうあるべき、というのも結構あります」
「Studyplusトレンド研究所によると、男子は髪を縛るのは禁止、女子は前髪を必ず作る。男子はタイツやヒートテック禁止、女子はネクタイ禁止など。ただ、今は少しずつ、こうしたおかしな校則を見直そうという動きもあります」
小野解説委員
「末冨教授の研究室の調査によると、全国121の教育委員会のうち、約半分の62の教育委員会が校則の見直しに取り組んでいるといいます」
「末冨教授は『人間の自由を縛る校則は、必要最小限でかつ合理的であるべきで、理不尽なルールを押し付けるのはモラハラです。生徒や保護者が学校側とともに、自分たちの手で校則を決めることが重要です』と話しています」
鈴江アナウンサー
「以前、今まで校則が変わっていなかった学校で生徒たちが声を上げて自ら校則作りをする取り組みを取材したことがあります。その生徒たちは『自分たちで作った校則だから、前よりもちゃんと守ろうと思うようになった』と話していました」
「生徒たちが主体性を持つことで、校則を守らせるものから守るものに変えていけるんじゃないかなと感じます」
小野解説委員
「こども基本法でも、当事者が意見を述べることの重要性がうたわれています。不適切な校則は時代に合わせて見直していくことが大切です」
(2024年4月18日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
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