髪形・服装…“厳しすぎる校則” 生徒自らが取り組む校則改正 “自分たちで決める”意義
何十年も前にできたものが今も変わらずに続いていることも多いという学校の校則。時代に合わない理不尽なものは“ブラック校則”と呼ばれることもあります。そうした校則を今、子どもたち自らの手で変えようという取り組みが広がっています。
◇
栃木県にある足利清風高校。60年の歴史を持つこの学校には、90近い数の校則があります。
鈴江奈々キャスター
「この学校に入ったとき、校則が厳しいなと思った人?」
男子生徒ら
「はい」
高校3年生
「ツーブロックが禁止」
高校3年生
「スマホをこんなに厳重に、みんな、朝、集めて鍵かけて。ちょっとおかしいなと」
このような厳しい校則はどの時代にもありました。
会社経営者(50代)
「隣町とかに出掛けるときは制服でいかなきゃいけない」
会社員(50代)
「服装チェックの先生が校門で竹刀持って立っていた」
主婦(30代)
「男女交際が禁止。生徒手帳に書いてあって。(今思えば)うちの高校、結構ブラックだった」
時代に合わない理不尽なものは“ブラック校則”と呼ばれることもあります。
3月まで高校生だった会社員(10代)
「前髪は眉毛にかかっちゃだめ。ずっと昔からそうだったらしいので」
何十年も前にできた学校の校則は、当時から変わらないことがほとんどです。しかし、足利清風高校では校則が変わり始めているのです。変えているのは、生徒たち自身です。
2年前、生徒指導担当だった先生が厳しすぎる校則を変えたいと思い、生徒と一緒に活動を開始しました。今では生徒が自ら動き、校則改正に取り組んでいます。
これまでに、前髪の長さの規定が変わったり、校内にある自動販売機も、校則で使えない時間がありましたが、自由に使えるようになったりしました。
◇
委員会では、新たな改正を目指して話し合いが行われていました。
「きょうはみんなでツーブロックの議案改正にむけて活動していきましょう」
「はい」
この学校には、「奇抜な髪形が禁止」という校則があり、ツーブロックも含まれています。しかし、今の時代、「奇抜ではない」という意見も多いことから、変えようとしているのです。
最終的に改正できるかどうかは職員会議でのプレゼン次第です。実は去年、全校生徒の意見が反映されていないと指摘され、データの取り直しに苦労したことがあったといいます。
鈴江キャスター
「いま振り返ると、そういう経験も?」
足利清風高校・ルールメイキング委員会 石山茶那委員長
「失敗だけでは終わらなくて、こういうやりかたとかにつなげられたのでよかったかなと思います」
今では、さらに説得力を上げるために、全校生徒や保護者からのアンケート結果をもとに意見をまとめていっています。
「アンケートの結果から悪い印象がないという人が8割を超えていて、清潔感があって色を変えるわけじゃないから」
生徒が校則を変えていく。その様子を見ていた先生は…
足利清風高校 猿橋宣彦教諭
「社会が変わっているのに校則が変わらない、学校だけ変わらないのはおかしな話ですので」
今後も、より時代にあった校則にするために、幅広い意見を取り入れていくということです。
◇
こうした生徒たちが校則を変える取り組みは「ルールメイキング」と呼ばれ、NPO法人のサポートもあり、全国に広がっています。
その中でも茨城県のつくば市では、全ての小中学校などでこの取り組みを行っています。
つくば市立二の宮小学校で去年話し合われたのは、全児童に配布されている「タブレット端末」の使い方についてです。
みんなの意見を集めて作ったのは、「タブレットの心得5か条」です。「時間を守る・こわさない」など、一見当たり前のように見えるルールですが、自分たちで決めることで、子どもたちの間で気をつけて注意し合う環境になったということです。
6年生
「先生から言われるものだと、隠れてルールを破る人とかがいたかもしれないけど、自分たちが決めたことだと責任を持てるので」
さらにこの活動は、普段の話し合いでも生かされています。
「下級生と6年生でわける?」
「それなら6年生で全部まとめたほうがいい」
「そうだね。それがいいんじゃないかな」
自分の意見を主張しながらも、相手の意見を受け入れることができるようになったといいます。
子どもが主体となって「変えよう」とする動きは、大人になる上で必要なことをたくさん学ぶ場にもなっています。