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【救急隊に密着】救急出動1日400件以上 熱中症の搬送急増でやまない緊急指令

2024年6月28日 21:45
【救急隊に密着】救急出動1日400件以上 熱中症の搬送急増でやまない緊急指令
救急隊員に密着
昼夜を問わず鳴り響く市民からのSOSに、最前線で応え続ける救急隊。1日400件以上のペースで出動している名古屋市では、暑い季節に特有の、ある搬送が急増。市民の命を守る救急の最前線に密着しました。

気温28℃でも熱中症で搬送される事態に…

名古屋市北区に拠点を構える名古屋市消防・本部第三救急隊。ここで活動する救急隊員は1日24時間勤務。交替すると、まずは資機材を入念に点検します。

前日の引き継ぎを終えた隊員が待機していると、さっそく緊急指令が舞い込んできました。指令から出動までの時間は約1分。救急車に駆け込み、すぐに出発します。

現場に到着すると、高齢の男性が倒れていました。隊員は男性を救急車に運び込み、倒れた時の状況を確認。

男性は家の近くを散歩していたところ、ふらついて突然倒れ、通行人が発見して119番通報をしたようです。転倒したはずみで鼻にけがをし、体には大量の汗をかいています。疑われたのは“熱中症”。

最後に水分をとったのは午前8時ぐらいだという男性。この日の名古屋の最高気温は27.8℃でしたが、それでも水分をとらなければ搬送される事態になりうるのです。

名古屋は平均34.5分 緊急搬送の速さは全国トップクラス

日々、過酷な現場に立ち向かう名古屋の救急隊ですが、実は救急搬送の速さは全国でもトップクラス。通報を受けてから病院に搬送するまでの時間は、全国平均は47.2分ですが、名古屋は34.5分と、全国と比べて10分以上も速いのです。

これに大きく貢献しているのが、スマホアプリを使った「新システム」。去年1月から導入されたものです。

これまで救急がひっ迫している時は、患者の受け入れ先を探すために病院1つ1つに電話で確認していましたが、現在は、通信アプリで患者の情報を入力すると複数の病院へ一斉に送信され、受け入れ先が早く見つかるようになりました。新しい仕組みが救急体制を維持することにつながっています。

救急隊稼働率70%超えで警戒モード やまない緊急指令

隊員が拠点で待機していると、またしても緊急指令が。飛び込んできたのは、救急と救助の要請。同じ拠点で活動するハイパーレスキュー隊と一緒に現場に向かいます。

通報の内容は「妻の安否がわからない!」というもの。隊員たちに緊張が走る中、要請された現場に到着。しかし、隊員は誰も連れずに出てきました。

本部救急隊 高橋和希さん:
「旦那さんの許可を得まして(扉を)破壊して侵入したんですけれども、中に人はいませんでした。連絡がとれないとか、近隣住民や家族、民生委員からの要請はあります」

拠点に戻った隊員たちに、つかの間の休息が訪れました。次の出動に備えるため、食事はいつも一緒にとります。持参した弁当をテーブルに広げ、ようやくひと口食べ始めた、そのとき、またしても緊急指令が飛び込んできました。入院患者を別の病院へ転院させる要請です。

隊員は食事をとる間もなく、すぐに出動しようとすると、「救急隊稼働率が70%を超えました。これより警戒モードとします」というアナウンスが流れました。名古屋市内全体の体制もひっ迫していて、次々と緊急指令が入ってきます。患者を転院させて拠点に戻る途中にも、またしても熱中症疑いの患者がいるという緊急指令が入りました。

搬送を終え、やっと食事にありつけた隊員たち。汁を吸って伸びてしまったインスタント麺や、パサパサになってしまったざるそばを頬張っていました。

名古屋市で6月25日までに熱中症の疑いで搬送された患者は137人(4/29~6/25の速報値)。暑い日が続き、増加していると言います。

本部救急隊 高橋和希さん:
「まだ暑さに慣れていない状態で日頃生活をされていると、汗をかいてもうまく発散できず、熱中症になってしまう方もいます。梅雨の間でも十分熱中症にかかる危険性はありますので、緊急のときにはすぐに119番通報していただきたい」

今も増え続ける救急要請。これからの季節、熱中症には十分な警戒が必要です。

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