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【特集】病院で働く“救急救命士”に密着 命を救う最前線も人手不足…救命士の活躍に期待《新潟》

2024年6月30日 19:11
【特集】病院で働く“救急救命士”に密着 命を救う最前線も人手不足…救命士の活躍に期待《新潟》

救急救命士は事故現場などから病院まで搬送する救急車の中で活動しているイメージがありますが、いま、活躍の場が広がっています。
命を救うために奮闘する最前線に密着しました。

きょうもどこかで救いの手が差し伸べられています。

病院へやってきた1台の救急車。
患者に寄り添うのは救急救命士です。

そして、病院で患者を待ち構えていたのも救急救命士。
いま、その働き方の幅が広がってきています。

「救急救命士」という職種が生まれたのは1991年のこと。
連絡を取り合う搬送先の医師の指導の下、点滴を打つなど医療行為を行うことができますが、活動場所については事故現場や救急車内に限られていました。

救急出動の件数を見てみると、救急救命士の誕生から2019年までの約30年間で、2倍ほどに増加しています。

今後も高齢化を背景に、救急医療のニーズが高まることが予想されるため3年前に法律が改正。
救急救命士も病院の中で入院前の患者に対して医療に従事できるようになり知識や技術をさらに生かせるようになりました。

■県立病院初の“病院救命士” 「やりがいある」

県立新発田病院です。
阿賀北地域の約25万人を対象に緊急性の高い患者に高度な医療を提供しています。
救急搬送の受け入れは年間6000件です。

県立の病院としては初めて、2023年から救急救命士が働いています。
看護師と手分けして医師を補助することが仕事です。

この日も次々と患者が運ばれてきました。
すかさず患者のもとへやってきたのは救急救命士です。
医師の指示のもと機械を取り付けたり声をかけたりします。

2023年4月から新発田病院で働いている松澤威琉さんと相馬夕樹さんです。
2人とも、もともとは消防署で働く救命士を思い描いていました。

〈救急救命士 松澤威琉さん〉
「高校2年生の時に体調崩して救急車で運ばれたことがある。 その時に救命士の方に救急車で運んでもらったが、その時の印象がすごく強くて」
「学校では学ばないような技術を 毎日見ていて、日々勉強で大変ではあるが、すごく楽しいなと思います」

〈救急救命士 相馬夕樹さん〉
「現場に行く救命士をテレビで見ていたので、病院の中で働く救命士はどんなことをしているのかなと いうのは想像はついていなかったが、実際働いてみて、 外でできる仕事以上にこっちでもたくさん救命士としてやらせてもらって いますし、やりがいはすごくある」

救急救命士に新発田病院でも働いてもらいたい……
そう呼び掛けたのが救急外来で働く木下秀則医師です。

〈救命救急センター長 木下秀則 医師〉
「人手不足で現場でそういう職種を求めている一方、なかなか職に就けない人がいるミスマッチが解消されるという 意味でも非常にいいことだなと 思っています」
「彼らの学んできたことを遺憾なく発揮する場がこの救急外来だと思うので、今後も増えていってくれるといいなと思っています」

新発田病院の救急救命士は現在7人。
将来的にはさらに増やし医師や看護師の負担を減らす……目指すのは“医療のタスク・シフト”だといいます。

指導にあたる先輩の看護師は、始めは職種の違いから何ができて、できないのか戸惑ったと言いますが、今ではお互いの理解が進み頼もしく感じていると言います。

〈看護師 荻間久美さん〉
「心臓マッサージとか気道確保とかそういったところは看護師よりも長けている部分が すごくあるので」
「1年経ちましたが、だいぶ頼もしくなった」

■院内ならでは……手術に立ち会うことも

この日、運ばれてきたのは80代の女性です。
救急外来を抜けすぐにCT検査にまわります。
女性は脳の血管に血のかたまり・血栓が詰まった脳梗塞でした。

そのころ、救命士の相馬さんは何やら資機材をそろえていました。
運んだ先は、CT検査を終えた女性の元。すぐに手術が行われることになりました。

脳外科や神経内科の医師や看護師たちが続々と集まりました。

その中に松澤さんの姿も……医師から指示が飛びます。

〈医師〉
「プリンペランを2筒打つのと、あとソセゴンとセルシン準備しよっか」

〈救急救命士 松澤威琉さん〉
「患者さんに心電図つけるとか、 治療中動かないように固定するのを積極的にやったり、 先生たちが滅菌ガウンという手術で必要なガウンを着るが、 そういう(着せる)のを僕たちが やることによって看護師がより治療に専念して記録とか書けるように」

救命士や看護師、医師などの連携でスムーズに準備が整い治療が始まりました。
救命士が手術に立ち会うこともあるといいます。

手術の結果、女性の脳につまっていた血栓は無事、取り除かれました。

■求められるチームワーク「頼られる救命士に」

命を救う最前線で働く彼らが一息つけるのがお昼休みです。

とはいえ、救急搬送は予測不可能。この日は午後2時を回っていました。
ようやくありつけたきょうのメニューは?

〈救急救命士 松澤威琉さん〉
「麻婆豆腐でございます」

〈救急救命士 相馬夕樹さん〉
「きのうの残り、冷凍食品、あといつものメンツ。簡単にしちゃいました」

松澤さんはお弁当をものすごい勢いでかき込んでいきます。
お昼も時間との戦いなのでしょうか?

〈救急救命士 相馬夕樹さん〉
「休憩はしっかりもらえるんで。そこは関係ないかな」

〈救急救命士 松澤威琉さん〉
「体力はかなり消費しますね。売店に行って買い足してきます」
「ちょっと足りませんでした」

いまではすっかり病院にもなじみ、やりがいも感じています。

〈救急救命士 相馬夕樹さん〉
「体力的にも頭脳的にも使いますけど、救命士だけじゃなくて、看護師と医師とも一緒に働いて、 他の職種の方々と一緒に働いているので、チームワークと言うか、そこが強いかなと思います」

〈救急救命士 松澤威琉さん〉
「看護師とは資格的な問題でできないことがある分も知識や技術で埋められるぐらい努力して、みんなから頼られる救命士になっていけたらいいなと思っています」

救える命がある限り歩みは止めません……。

高齢化が進み、救急医療の在り方が問われる今、救急救命士の新たな働き方に期待がかかっています。

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