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名古屋市内30校が学年・学級閉鎖 中高生を中心に“季節外れ”のインフルエンザ流行か 医師も困惑「経験したことがない事態」

2023年9月29日 20:01
名古屋市内30校が学年・学級閉鎖 中高生を中心に“季節外れ”のインフルエンザ流行か 医師も困惑「経験したことがない事態」

中高生を中心に“季節はずれ”のインフルエンザが流行している。9月には名古屋市の中学・高校で学級閉鎖・学年閉鎖が30校、さらに休校も9校に上る。異常なスピードで流行している今年のインフルエンザ。気になる原因と、私たちが今からできる対策とは。

8月末から感染者増加! “季節はずれ”のインフルエンザ

「医師になって以来、9月にインフルエンザがこれだけ出てるなんて初めての経験。異常な感じを受けます」そう答えたのは、名古屋市中川区「佐藤あつしクリニック」の佐藤温医師。昨日、発熱外来に訪れた人は13人、そのうち6人がインフルエンザに感染していたそうだ。コロナ渦前は、11月中旬から流行していたインフルエンザ。コロナ渦に入るとマスク予防で流行は鈍化していたが、今年8月末から急速に患者数が増加している。原因のひとつとして挙げられるのが、“人々のマスク離れ”。「コロナが5類に変わってから、皆さん安心してマスクをとって日常生活を楽しんでいらっしゃるので、どうしてもその影響が出てしまっている」と佐藤医師は話す。また、流行の影響で検査キットの不足も懸念されている。「実はインフルエンザの抗原検査のキットが不足し始めていて、薬品の卸会社さんから購入制限が出てきている。まだそこまではないが、考えながら検査してる」と想定外の流行が及ぼしている影響について述べた。

名古屋市の中学・高校で学級閉鎖が相次ぐ

例年より異常に早く流行している今年のインフルエンザ。なかでも、中高生を中心に感染が拡大している。名古屋市では学級閉鎖・学年閉鎖が30校、さらに休校は9校に上る。休校になっている高校を調べてみると、“ある共通点”が見つかった。それは、直近で「文化祭」など学校祭が行われていたこと。佐藤あつしクリニック・佐藤医師も、「(中高生の患者さんから)問診してみると、文化祭や体育祭が終わってから発症してるという人が非常に多い」と話す。多くの人が集まる場所で感染が広まっていることが原因のひとつだと思われる。原因は行事だけでなく、海外の影響も予想される。インフルエンザなど感染症に詳しい、名古屋大学医学部救急医学・松田直之教授は、今年8月からの東南アジア・南アジアでのインフルエンザ流行も原因のひとつとして予想。「症状がなくても感染した人が日本に持ち込んだことで、季節外れの感染が広がったのではないか」と海外渡航者の増加による影響も視野に入れた。

今すぐできる感染予防は “手洗い・うがい”の徹底

各地で猛威をふるうインフルエンザ。今後、一体どんな広がりをみせていくのか?松田教授は、流行の度合いを計る病院内での“定点観測”を例に挙げながら述べる。「定点観測で感染者数が1病院あたり10名を超えてくる状況になると、危機的な状況という評価になる。この値を、愛知は10を超えるところまできている。(※9/18~9/24時点で愛知は8点54)これからどんどん増えてくることが予想されるし、1週間だけで100人近く診る病院も出てくるかもしれない」と危機感を示した。さらなる拡大が予想されるインフルエンザ。今から、私たちができる対策はあるのだろうか?松田教授は、“手洗い・マスク・三密を避けること”の大切さを挙げ、「ワクチン必ず効果が出てくると思うので、打つまでは要注意。あと、窓をちゃんと開けて空気を入れ替えること。症状があったら、周りに移さないように気をつけてほしい」と一人一人が意識を高めることの重要度を述べた。

コロナ前の生活に戻りつつある、私たちの生活。しかし、インフルエンザをはじめコロナ以外のウイルスも、コロナ前と同じく存在していることを忘れてはいけない。基本に立ち返って、マスク・うがいを続けることが感染予防に繋がるのだ。

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