2018年、名古屋市名東区の女子中学生が自殺した問題で、遺族が、市に対し、損害賠償を求めている裁判の控訴審が開かれ、名古屋高裁は、原告の訴えを退けました。遺族は、上告する方針です。

この裁判は、2018年、名東区の中学1年生だった齋藤華子さん（当時13）が自殺した問題を巡り、学校側が、いじめを防ぐ安全配慮義務を怠ったなどとして、遺族が市に対し、1540万円の損害賠償を求めているものです。

名古屋市が設置した第三者委員会は、当初、「いじめは認められない」としていましたが、遺族が再調査を求めると一転、いじめがあったと認定しました。

今年3月、一審の名古屋地裁は、「教員が当時、いじめを具体的に認識することができたとはいえない」などとして、原告の訴えを退けていて、遺族側は不服として控訴していました。

20日に開かれた控訴審の判決公判で、名古屋高裁は、「いじめを具体的に予見できたとは言えず、学校側にいじめ発見の義務はない」などとして、原告の訴えを退けました。

判決を受けて、華子さんの父・信太郎さんは。

華子さんの父 齋藤信太郎さん：
「もう7年ですからね。いつになったら私たちは娘の死をゆっくり悲しむことができるのか」

齋藤さんは、今回の裁判が不当で違法な判断だったとして、上告するとしています。

名古屋市教育委員会は、「1人の子どもの命を守ることができなかったことについて、心よりおわび申し上げるとともに、引き続きいじめ防止対策に取り組んでまいります」などとコメントしています。