「サルが両手に石を持って…」 経営難を救うサルの“ご支猿”大作戦 愛知・犬山市
モンキーバレーに響き渡る“カチカチ”という不思議な音の正体は…?
約130頭のヤクシマザルが飼育されている日本モンキーセンターの「モンキーバレー」。冬になるとサルがたき火であたたまる光景がおなじみですが、ここで耳を澄ますと、カチカチという音が聞こえてきました。
辺りをよく見てみると、サルが両手に石を持って叩いています。中には、地面の岩に石をこすりつけている様子も。しかも、石を鳴らしているのは1頭だけではなく、まるで合唱しているかのように、あちこちから聞こえてきます。いったいこれは何をしているのでしょうか。
飼育担当の辻󠄀内さんによると、ご飯を食べ終わった後に鳴らすことが多いということなので、お昼ご飯の様子を観察してみました。サルたちは飼育員が撒いたおやつを一心不乱にむしゃむしゃと食べていましたが、一通り食べ終わると、石を持ってカチカチと鳴らし始めたのです!
それにしてもなぜ、日本モンキーセンターのサルは石を鳴らすのでしょうか?
飼育担当辻󠄀内祐美さん:
「実は石を鳴らす理由はよくわかっていないんですね。個性というか、個体によって鳴らす鳴らさないがある」
辻󠄀内さんによると、石を叩くことをしないサルもいて、いつから鳴らすようになったのかもわからないでそうです。
“カチカチ石”が経営危機を救う!? クラファンで支猿(しえん)呼びかけ
ご飯を食べた後に石を鳴らすサル。そんな個性的な行動を何かに使えないだろうかと、日本モンキーセンターが考えたのが、先月から始まったクラウドファンディングでした。
無線機などの設備投資や施設改修のための資金を募り、お礼の品としてエサやりやガイドツアーなどを用意していたのですが、サルが鳴らしていた石も返礼品にしてしまったのです。しかも、用意した石はすぐ品切れになるほどの大人気! 慌てて追加を準備しているそうです。
飼育担当 辻󠄀内祐美さん:
「『石をポチっとしましたよ』ってお声をかけてくださる方もいます。石を鳴らした個体(サル)の名前も全部ついていますので、何時に叩いた石だよっていうのを画像と共に、叩いている様子と共に、お送りさせていただきます」
他にも「アヌビスヒヒの犬歯キーホルダー」や「ニシゴリラがかじった枝」なども人気なんだとか。寄付総額はすでに1200万円を超えています。
実は、2019年にSNSで公式アカウントが「貧乏なモンキーセンター」という衝撃の告白をしたことから、日本モンキーセンターといえば"お金がない”で有名になりました。
2022年度の数字で見てみると、入園料などの事業収益が約1億3180万円なのに対し、経費は2億4770万円以上。つまり約1億1600万円も足りないのです。公益財団法人なので公的補助金はなく、差額分を寄付に頼る状態で、これまでクラウドファンディング以外にも、いろいろな取り組みを行ってきました。
例えば「ほしいものリスト」を公表して、実物を支援してもらう作戦では、バケツや脚立、軽トラックの寄付があったといいます。飼育員デザインTシャツを販売した時は、目標の500枚を達成した収益で、穴だらけだったスタッフTシャツを全員分買い換えました。さらに、農業体験施設とのコラボでは、支援者が料金を払ってサツマイモの作付・収穫体験をした後、決まった量を持ち帰り、残りはエサとして寄付するという取り組みも行いました。
カチカチ石などがお礼の品となるクラウドファンディングは5月末まで。日本モンキーセンターは支猿(しえん)を呼びかけています。