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地震被災地の現実 子どもたちの学びの場は… 学校再開 家族と離れ「集団避難」も【バンキシャ!】

2024年1月22日 10:39
地震被災地の現実 子どもたちの学びの場は… 学校再開 家族と離れ「集団避難」も【バンキシャ!】
能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県珠洲市と能登町から、21日、142人の中学生が集団避難した。今、被災地の子どもたちの学びの場は、どうなっているのか。子どもたちや教師が直面している現実とは。再開した小学校の1日を取材した。【バンキシャ!】

19日、バンキシャ!が訪ねたのは月曜から授業が再開した珠洲市立直(ただ)小学校。4年生のクラスでは子どもたちが、授業が始まるのを待っていた。すると―

児童
「おお!もり!おはよう!」

教室に入ってきたのは、森山愛翔(もりやま らいが)くん。地震後、富山県に避難し、この日、初めて登校したという。

先生
「元気?」

愛翔くん
「はい」

先生
「よかった」

久々の再会。友達に聞かれたのは…

友達
「あっちの方は電気つくん?富山のほう」

愛翔くん
「全然つくよ」

友達
「水もきとる?」

愛翔くん
「水めっちゃきてるよ」

授業では…

先生
「教科書83ページ。見せてもらって」

すぐに避難したため勉強道具を持っていない愛翔くん。友達から国語の教科書を見せてもらっていた。

体育の授業は体育館が避難所になっているため、音楽室で。そこでスリッパを履いている愛翔くんに先生が気づいた。

先生
「愛翔、靴なかったの?」

愛翔くん
「ない」

先生
「何cm?」

愛翔くん
「25cm」

先生
「サッカーのシューズ貸してあげて。ある?」

児童
「はい」

友達が室内履きを取りにいく。

友達
「入るか?」

しかし、サイズが合わない。友達が自分の靴と交換すると…

友達
「これはいてみて」

愛翔くん
「これは入る」

先生
「貸しておいて」

友達
「ぴったり ぴったり」

愛翔くん
「よし やろう」

そして始まったのは、

先生
「狭いから本気で走らず、軽く走ってください」

今は教室でしか走れない。それでも、笑い声が響いていた。

この日のお昼ご飯は、支援団体が提供してくれた。

みんな「いただきます」

この日のメニューはご飯と、みそ汁と赤魚の煮付け。
      
先生
「おいしい?」

子どもたちと食事をしているのは教員2年目の吉田莉子(りこ)先生(24)。子どもたちが、地震前と変わらない学校生活を送れるように努めていた。

先生
「はい、漢字テストします」

子どもたち「うわー」

帰りの会で先生は、子どもたちに声をかけた。

先生「まだまだつらい日々が続くけど、来週も元気に学校に来てください。元気に来てくれれば先生はそれだけで幸せです」

子どもたち
「はい」

 ***

放課後の教室。カーテンのない窓から見えたのは、地震で変わってしまった町並みだ。

先生「カーテンが元々あったんですけど、避難者の方が暖をとるために避難所の方にあるみたいで」

日差しを遮るために新聞で窓を覆うも・・・

先生「今年に入ってからの新聞なので、どこ見ても地震のこと。逃れん感じの学校生活にもなる」

地震の爪痕が子どもの目に映ってしまうことを心配していた。

吉田先生は珠洲市から100kmほど離れた実家で被災。避難中、頭をよぎったのは子どもたちのことだった。

先生「子どもたちの命が無事なのかなって気になりながらずっと避難していたんですけど、みんな無事でなによりでした。子どもがいるとどうしても涙は見せられないと思って…。もしかしたら珠洲市に人がいなくなっちゃったり、子どももどこか行っちゃうんじゃないかと思うと悔しくて…何も悪くないのに」

 ***

21日午前9時ごろ、石川・珠洲市では、学びの場を求め故郷を離れる子どもたちも。大きなスーツケースを積んで車に乗り込んだのは、柚谷日和(ゆうや ひより)さん、中学3年生。

日和さん
「(きのうは)実感があまりわかなかった」

バンキシャ
「いまは?」

日和さん「ちょっとずつ、行くんだなって」

受験を控えた大切な時期。落ち着いて勉強できる環境を求めて「集団避難」することにしたという。バンキシャ!が20日、荷造り中のスーツケースを見せてもらうと――

日和さん「自分が一番というか、結構好きな漫画を詰めました。気分が暗くなった時に読んだら、笑ったり明るい気持ちになれるので」

一緒に避難する、いとこの和嶋杏樹さん(中学3年生)。避難生活で髪を洗うのが大変だったため出発前にカットしたという。

杏樹さん
「不安の方が多い」

バンキシャ
「行こうと思う理由は?」

杏樹さん
「安定した生活があるのが大きいです」

出発前、最後の夕食は…

日和さんの母・恭子さん
「カレーライスです」

日和さんたちの好物だ。しばらく味わえない母の料理。

みんな
「いただきます」


「帰ってきたらなんでも作ってあげる」

 ***

21日、金沢市へ集団避難した珠洲市の中学生は102人。送り出す日和さんの母は…

母・恭子さん「きのうの夜、久しぶりに手をつないで寝て。元気充電できたかな…。本当に元気で頑張ってもらえればそれが一番かな…。ひーちゃん、これ」

一方、いとこの杏樹さんの父は…

父・昌樹さん
「さみしくなりますけど…楽しんできてほしい」

約2か月間の家族との別れ。同じ境遇の仲間とともに、この苦難を乗り越える。

*1月21日放送『真相報道バンキシャ!』より

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