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無事に成功…世界初「生体の肺と肝臓“同時移植”」 両親「一筋の光になれば…」

2024年3月5日 6:25
無事に成功…世界初「生体の肺と肝臓“同時移植”」 両親「一筋の光になれば…」

両親と手をつないで病院内を歩く男の子。18時間にも及ぶ手術を受けました。父と母と祖父から提供を受けた肺と肝臓を同時に移植するもので、生体ドナーからの同時移植は世界で初めてだということです。

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京大附属病院 伊達洋至教授
「世界で初めての生体肺肝同時移植を行いましたので報告させていただく」

4日、京都大学医学部附属病院が成功を発表した“世界初”の手術。去年11月、その手術が行われました。

京大病院によると、手術を行ったのは生まれつき皮膚や臓器などに異常をきたす病気の10歳未満の男の子。肺には動脈と静脈が直接つながり、酸素の取り込みが難しくなる「多発性肺動静脈ろう」を、肝臓には「肝硬変」を患っていました。

京大附属病院 伊達洋至教授
「24時間ずっと鼻からの酸素を吸って、手も紫ですし顔も紫ですし、そういうお子様です。日に日にとまでは言わないが、週単位でだんだん状態は悪くなっていた」

命を救うには、肺と肝臓の同時移植が必要な状態でした。

京大附属病院 伊達洋至教授
「複数の臓器を同時に移植、諸外国では行われていて、脳死のドナーの数が多いので、脳死の方から肺も肝臓もいただき患者さんに移植するということ。数は少ないですが行われています。ただ、日本では提供者が非常に少ないこともあって」

これまで、海外では脳死ドナーからの肺と肝臓の同時移植は少なくとも30例以上あるものの、日本での事例はないといいます。

そこで今回行われたのが、「生体ドナー」から提供を受ける手術です。40代の両親から肺の一部、60代の祖父から肝臓の一部を移植しました。

かかった時間は18時間以上。4つの手術室を使い、約30人のスタッフによって行われました。

世界で初めての「生体ドナー」からの同時移植。手術が無事成功すると…

京大附属病院 伊達洋至教授
「本人は『ローソンに行けるようになった』とすごく喜んでいました。複数臓器が悪い方にも治療が可能になったという面で意義が大きかったのでは。この移植をどんどん進めるのは生体ドナーのことがあるので決してないが、治療の可能性を探るということは続けていきたい」

手術から3か月半がたった今月1日、男の子が退院するときには、両親と手をつなぎ、しっかり自らの足で歩くことができていました。臓器を提供した両親と祖父も、すでに社会復帰しているということです。

息子の手術成功を受け、両親は「当初はもう打つ手がないものと絶望的な気持ちでしたが、京大病院にもさまざまなリスクがある中で今回の提案をしてくださったことが、私たち家族にとっては唯一の希望でした。これまで移植を諦めるしかなく、何もできないもどかしさや絶望感を抱えている患者さんや親族の方の一筋の光になればうれしいと考えております」とコメントしています。

(3月4日放送『news zero』より)