手口は“ニセ金の粒”と“ニセ札”で…? ウソの“金の売買取引”で1300万円窃盗か イギリス国籍の男を逮捕
2023年10月、東京・千代田区のレストランで、ウソの金の取引を持ちかけ、相手に用意させた現金1300万円を“ニセ札”にすり替え、盗んだとして、警視庁がイギリス国籍の40歳の男を逮捕したことがわかりました。ウソの金取引は他にも起きていて、被害額は1億円以上にのぼっています。
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金にみせかけた“ニセの金の粒”を使って、現金を盗んだとして警視庁に逮捕されたのは、イギリス国籍のクポト・ジョー容疑者(40)です。
警視庁によると、クポト容疑者は仲間と共謀し、会社役員の男性(60代)にウソの金の取引を持ちかけ、現金1300万円を“ニセ札”にすり替え、盗んだ疑いがもたれています。
“ニセの金”と“ニセ札”を使い、どう現金を盗んだのでしょうか。
ブローカーを介してクポト容疑者と知り合ったという被害者の男性は去年10月、“金の売買取引”を名目に、都内にあるレストランで会ったといいますが、このとき行われたのが“ウソ”の取引でした。
金を購入するため、男性は現金1300万円を紙袋に入れて用意。すると、クポト容疑者は「まず現金を確認させてほしい」と言うと、男性から紙袋を受け取り、テーブルの下で現金1300万円を数えるふりをしながら、バッグの中の“ニセ札”とすり替えたとみられています。
その後、紙袋を粘着テープでぐるぐる巻きにして中が見えない状態で男性に返したというクポト容疑者。そして“金の粒”1キロを見せたといいます。
男性は金を査定するため、買い取り店へ向かいますが、そのとき途中から取引に合流していたもう1人の外国籍の男が同行。ただ、もう1人の外国籍の男は「次の用事がある」として、途中で立ち去ったといいます。
男性が1人で金を査定すると、ニセモノと判明。その間に、クポト容疑者も行方をくらませていたといいます。
実際に押収された“ニセ札”をよく見てみると、1万円…ではなく「百万円」の文字が。さらに「日本銀行」ではなく「見本銀行」と書かれていて、その正体は「メモ帳」でした。
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実は“金の売買取引”をめぐる窃盗事件は他にも起きていて、被害総額は1億4600万円にのぼるということです。
去年11月には都内のホテルで“粒状の金”の取引中、“ニセ札”と現金3400万円をすり替えたとして、リベリア国籍の男2人が逮捕されました。このとき使われた“金”もニセモノでした。
また中には、一度は本物の金で取引し、信用した女性にニセモノの金を買わせて、現金630万円をだまし取ったとしてリベリア国籍の男が逮捕される事件も起きています。
外国人による“ニセの金”や“ニセ札”を使った事件が相次いでいて、警視庁は同じ外国人グループの犯行の可能性もあるとみて関連を調べています。
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10月末、過去最高値を更新した国内の金。街の人は…
公務員(20代)
「(金を)買ってみたい。価値が変動するから、もうけを考えるとやってみたい」
会社員(50代)
「(金が)今すごい上がってると聞いて、買っといた方がいいかな」
金を所持 経営者
「金は不況とか景気悪いときに結構上がってるから期待してる」
──事件を受けてどうですか?
金を所持 会社員(40代)
「怖いですよね。どこかいってるすきに(ニセモノに)替えられるとわからないから」
私たちが被害にあわないためには、何に注意すればよいのでしょうか。専門家に聞きました。
日本貴金属マーケット協会 池水雄一代表理事
「お店のほうから積極的にお客さんにアプローチして売るというマーケティングは、基本的にはやりません」
「なかなか個人間で売買というのは、普通はしない」
「ちゃんとした業者で売買するほうが安心」
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警視庁は、取引に参加していたもう1人の男についても行方を追っています。
※11月16日(土)午前0時10分(金曜深夜)放送 『news zero』より