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新型コロナワクチン“秋接種”開始 どうする? “第9波”…「エリス」に効くの? 在庫ワクチン「8630万回分」廃棄…なぜこんなに?【#みんなのギモン】

2023年9月20日 21:58
新型コロナワクチン“秋接種”開始 どうする? “第9波”…「エリス」に効くの? 在庫ワクチン「8630万回分」廃棄…なぜこんなに?【#みんなのギモン】

9月20日から、新型コロナワクチンの秋の接種が始まりました。生後6か月以上のすべての年代が対象です。東京・港区のクリニックではこの日の午前、さっそく追加接種を受けに来た人たちの姿が見られました。

69歳女性(7回目の接種)
「7回目です。年齢的に重症化しないようにということと、安心感がありますね」

また、都庁の展望室でも秋接種が始まり、この日の500人の予約枠はすべて埋まったということです。

25歳女性(5回目の接種)
「周りですごく感染者が増えているので、今出ている新しいものが打てたので、効果がいろんな株にあればと期待しています」

新しい変異株に対応するワクチンを打てるタイミングを待っていた、という人もいるかもしれません。

●変異株「エリス」に効果は?
●大量廃棄も…なぜ?

以上のポイントを中心に詳しく解説します。

■“新しいワクチン” 今年度まで“無料” コロナ秋接種 20日から開始

まず、20日から始まった接種の内容をまとめます。

今年5月から65歳以上の高齢者、基礎疾患がある人、医療従事者などは追加接種が始まっていましたが、この日からは生後6か月以上のすべての人が接種できるようになりました。

使われるのは「XBB」という変異株に対応した“新しいワクチン”です。接種の費用は「無料」です。ただ、全額公費で接種ができる「特例臨時接種」の期間が今年度末で終了することになっているので、無料で打てる最後の機会になる可能性もあります。

■「新型コロナ」報告数 再び増加“第9波”か 主流は「エリス」に… 

いま、全国的にコロナの患者数が多い状態が続いていますが、専門家の中では“第9波”ともいわれています。

東京都の最新の感染状況(※東京都のモニタリング分析 9月14日時点)を見てみると、「XBB系統」の割合が92.9%と、ほとんどを占めています。その中でも「EG.5」(イージーファイブ)いわゆる「エリス」と呼ばれている変異株が39.8%と、主流になっていることがわかります。

■“新しいワクチン” 「エリス」に効くの?

今回の新しいワクチンは、「エリス」に効果があるのでしょうか。今年の初めごろに来ていた“第8波”のころは「BA.5」という変異株が主流でした。

そのためこれまでの接種では、最初に中国で見つかった「従来株」と変異株「BA系統」の2つのタイプに対応するワクチンが使われていました。

しかし20日からの「秋接種」では、使われるワクチンの種類が変わり、「XBB系統」に対応する“新しいワクチン”になりました。

厚生労働省によると、この新しいワクチンはこれまでのものよりも、ウイルスに対抗する「中和抗体」の値が高いことが報告されています。つまり、現在の主流のXBB系統に対して、発症や重症化の予防効果がより期待されるということで使われることになりました。

また、いま最も勢いがある変異株「エリス」も「XBB系統」の1つです。東京都の感染対策の専門家は「『エリス』にも効く可能性が高い」と話しています。

■ワクチン秋接種 どうしたらいい? いま打つメリットは?

それでも「今回、打つかどうか」とまだ迷っている方も多いと思います。そこで、今回のワクチンについて感染症・呼吸器疾患が専門の加藤哲朗医師(日比谷クリニック)に聞きました。

加藤医師は「これまでと同様にワクチンの接種は、任意ではあります」と前置きしたうえで、次の3点を挙げ現状を分析しました。

◇副反応はこれまでのワクチンと基本的に変わらない
◇最後の接種から一定の時間が経っている人は効果が薄れている可能性がある
◇変異株「エリス」の感染が増えている

上記3点を総合的にみて「いま打つメリットは大きいのではないか」と話していました。

厚生労働省は、今回のワクチンについて、高齢者や基礎疾患のある人は「努力義務」としていて、自治体からも積極的に接種をすすめる対象としています。

■これまでのワクチン「約8630万回分」 順次廃棄へ

ところで、これまで使っていたワクチンは、どうなってしまうのでしょうか。

厚生労働省は19日、これまで保管してきた新型コロナのワクチンについて合計8630万回分を順次廃棄すると発表しました。“秋の接種”が始まるタイミングでの発表となりました。

「従来株ワクチン」は即廃棄、残りの「オミクロン株対応ワクチン」は有効期限が来たら廃棄すると発表しました。

その大きな理由は、さきほど触れたように20日から「XBB系統対応のワクチン」がすべての接種で使われることになったためです。これまで使っていた「従来株」や変異株である「オミクロン株対応」のワクチンを使う見込みがなくなったから、大量廃棄になったのです。

内訳は「従来株ワクチン」が約830万回分、「オミクロン株対応ワクチン」が約7800万回分です。

■ワクチン大量廃棄 なぜこんなに? 政府の購入単価 非公表のワケ…

なぜこれほど余ったのか。厚生労働省の担当者は「国際的なワクチン確保の競争が非常に激しくなる中で、希望する全国民が接種できるように確保してきた」ということです。

では、この廃棄分にどのくらいの費用がかかったのでしょうか。

厚労省は1回あたりの購入単価を公表していません。「政府と製薬会社との間で契約上『守秘義務』が課されているから」と説明をしていましたが、関係者によると「ワクチンの購入費用が公になると、製薬会社にとっても、確保する国にとっても、交渉が難しくなってしまう」といいます。

つまり「あの国にはこれだけ安く売った、これだけの量売っているじゃないか」といわれかねません。「手の内」はお互いさらせない、ということです。国によって単価が違うことは、実際にあるようです。

■ワクチン確保量の「算定根拠」が“不十分”と会計検査院が指摘も

ただ、政府はこれまで新型コロナワクチンを累計で「8億8200万回分」確保してきましたが、そのうち自治体に実際に配布されたのは「約3億回分」です。

会計検査院からは確保量の「算定根拠」が十分示されていないと、厳しく指摘されています。

   ◇

あらためて、ワクチンの接種は“強制”ではなく、“個人の判断”です。メリットデメリットについて情報収集をしっかりしたうえで、接種の判断をしていただきたいと思います。

(2023年9月20日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

●あなたの身の回りの怒りやギモンをお寄せください。

お寄せいただいた情報をもとに日本テレビ報道局が調査・取材します。

#みんなのギモン

https://www.ntv.co.jp/provideinformation/houdou.html

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