【特集】水族館の生き物 どこからやってくる? 展示係の裏側に密着 坂井市・越前松島水族館
水族館の生き物はどこからやってくるのか?その裏側を取材しました。
愛くるしい表情のハリセンボンに、タッチプールの底でじっと動かないネコザメ。坂井市三国町の越前松島水族館には、150種類およそ4000匹の生き物が展示されています。
■来館した子ども
「(ネコザメは)すごくザラザラしていました。かわいい」
展示されている生き物は、水族館同士の生き物交換や専門の業者から購入するケースがおよそ4割。残りの6割は、漁師から譲ってもらったり、購入したりして調達しています。
今回はその現場に特別に同行させてもらいました。
向かったのは石川県の橋立漁港。展示用の生き物は、元気な状態で持って帰らなければならないため、魚に傷がつきにくく、他の漁法と比べて生きの良い状態で水揚げされる定置網漁が狙い目です。
■越前松島水族館 魚類係 高橋一樹さん
「ふれあい館用のエイ、サメ類。大きい水槽に入れるヒラマサが一番欲しい」
漁港からおよそ2キロ離れた沖合の定置網には、たくさんの魚がかかっていました。6月はさまざまな種類の魚が網に入りやすく、展示用の生き物を調達するにはベストなシーズンなんだとか。
■越前松島水族館 魚類係 高橋一樹さん
「今入っているのは、マアジ、ウマズラハギ、カワハギ、ヒラマサ」
網を手にした高橋さん。漁師が慌ただしく作業をする隙間から漁の邪魔をしないよう、次々とお目当てのヒラマサをすくいます。また、食べられる魚に交じって、珍しい生き物が入っていないか、真剣な眼差しで水揚げされた魚を見つめます。
この日は展示用のヒラマサを5匹。他の生き物の餌となるミズクラゲ5匹を調達することができました。
■金城水産 窪川敏治 代表取締役
「私たちは人に食べてもらうために魚を獲っているけど、水族館で展示してもらい、見てもらって、例えば子どもたちが魚を見て、海に興味を持ったり、魚に興味を持ってくれたら(うれしい)」
港に戻ると、スタッフが協力してヒラマサを素早くトラックの水槽へ移します。水族館に到着したら、魚を傷つけないよう1匹ずつ丁寧に展示用の水槽へ。ヒラマサの展示コーナーにはこの日、5匹の仲間が加わりました。
■来館した子ども
「なんかかわいいなと思いました」
■来館した大人
「身近にあるお魚が見られるのも良いなと思います」
■越前松島水族館 魚類係 高橋一樹さん
「生き物を水槽に入れることに対して、自分たちが水族館近くの海に出かけて、いつ、どんな魚がいるのか勉強するうえで重要。お客さまに説明する上で、胸を張って、水族館の近くにすむ魚だよと言えるように。水族館の職員だけじゃない、なかなかスポットの当たらない漁師さんの協力があって水族館が成り立っている」
訪れる人を魅了し、楽しませる水族館。その裏には漁師たちの協力と生き物を愛するスタッフの情熱がありました。