斎藤元彦氏、“SNSの力”語る 兵庫県知事選勝利から一夜
17日に行われた兵庫県知事選挙で再選を果たした斎藤元彦氏。“返り咲き”から一夜。18日の会見で語ったのは「SNSの力の大きさ」でした。
◇
勝利から一夜。
前兵庫県知事 斎藤元彦氏
「少しまだ実感がわかない面もある」
悲願の返り咲き、大きな後押しとなったのは…
前兵庫県知事 斎藤元彦氏
「SNSは非常に一つの大きなポイントだったと思いますね。思うままに発信したという感じですけどね」
その加速力はすさまじいものでした。
失職した9月30日の朝。はじめは立ち止まる人も耳を傾ける人もほとんどいませんでした。
「おばちゃんたちの評判よくないよ」
それでも再選を目指し街頭に立ち続ける日々。SNSにその様子を投稿すると、次第に取り囲む人の輪は広がり…
「さいとー! さいとー! さいとー!」
投票日の前日には人だかりが…
前兵庫県知事 斎藤元彦氏
「僕の好きな映画に『ロッキー』っていうのがありまして、『ロッキー』見たことある人」
「はーい!」
前兵庫県知事 斎藤元彦氏
「最終ラウンド、15Rまで戦い続ける。それがロッキーの…」
「おまえ殴るだけやろ! 殴りたいだけやろ!」
支持者だけではなく、ヤジも入り交じる大演説会になりました。
そもそも今回の知事選が行われることとなったきっかけは、今年3月に斎藤氏のパワハラやおねだりといった疑惑が文書で告発されたことでした。告発した元県民局長は自殺したとみられています。
職員アンケートによると、兵庫県職員の約4割も斎藤氏のパワハラを見聞きしたと回答していて、今年9月に全会一致で不信任案が可決。斎藤氏は“知事失格”を突きつけられました。
◇
わずか1か月半で果たした返り咲き。その大きな後押しとなったのが、SNSの力です。
前兵庫県知事 斎藤元彦氏
「元々SNSは、私もコメントが厳しかったり、いろいろありましたので、そんなに好きではなかったけど、今回はSNSを通じていろんな広がり、SNSのプラスの面をすごく感じた」
その大きな潮目となったとみられるのは、NHK党の立花氏の存在です。今回の知事選に自身も立候補しながら「斎藤氏は全く悪くない」などと応援を呼びかけるという異例の行動に出たところ、これまでほとんど拡散されることはなかった斎藤氏を支持するSNSの投稿が一気に拡散されたというデータもあるのです。
それから、応援動画はどんどん拡散。
なぜ、斎藤氏に対してここまでSNSの力が広がったのか。県民から聞かれたのは、大手メディアに対する不満です。
斎藤氏に投票 70代
「一方的におねだり・パワハラ、手続き的な面ばかりを強調する」
斎藤氏に投票 30代
「テレビだったら偏りがあるかなと思うことが、この選挙だけじゃなくて、いろんなニュースがある中で思っていたことなので」
斎藤氏に投票 60代
「ネットだといろいろ調べられますから。県民もバカじゃないから判断しますから。(大手メディアを)うのみにしていいのか」
斎藤氏に投票 40代
「テレビって一方通行、発信して終わり。ネットはみんなのコメントが入ってやりとりがある中で、本当はこうじゃないかなって真実味があるというか、身近に感じる」
テレビや新聞だけでなく、SNSの情報を照らし合わせるという声。
「何が正しい情報かわからなかったので客観的に見ないといけないなと。立花さんの主張見て『え? ほんと?』って。でも立花さんもちょっと怪しいとも感じていて」
──何がほんとでどこまでウソか?
「わからない、自分が調べて自分が見た結果で投票した」
一方で…
40代
「(ネットは)見ないようにしていました。新聞とかから情報を得るように。出どころもあるし、偏見かもしれないけど(情報の真偽が)わからなくなってしまう」
ネットメディアに詳しい専門家は、選挙におけるSNSの力をこう分析しています。
国際大学 山口真一准教授
「(SNSが)結果が変わるくらいの力を持ったと考えている。正義と悪という対立構造はSNSで拡散されやすい。(都知事選の)石丸さんも米大統領選のトランプ氏も既得権益や闇の政府と戦っているということがSNSで拡散されて支持を集めた。こういったケースがどんどん増えていくと予想。マスメディアかSNSかということではなく、みんなが自分の取捨選択をしている」
様々な情報に自ら触れられる時代だからこそ、新たなメディアリテラシーを身につける必要がありそうです。