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「この病気を多くの人に知ってほしい」難病ALSと闘う医師が伝える思い・福島

2025年3月27日 9:49
「この病気を多くの人に知ってほしい」難病ALSと闘う医師が伝える思い・福島

全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病「ALS」と闘う医師がいわき市にいます。
「この病気を多くの人に知ってほしい」と病気が進行する中でも自らの言葉で私たちに伝えてくれました。

■いわき市医師会 木村守和会長(当時)
「いわきの住民の健康が守れるか。いわきの医療を守れるのか、分岐点に来ている」

医師の木村守和さん。
いわき市四倉町で診療所を営み祖父の代から90年以上地域の医療を守ってきました。

木村さんは、2年前、ある体の変化に気づいたといいます。

■医師 木村守和さん
「7月頃に1時間くらいの講演をしていると口がもつれるような感じがあって」その後も同じような症状が続き詳しく検査をすると…

■医師 木村守和さん
「11月下旬にALSの診断になりますということになりました」

ALS=筋萎縮性側索硬化症。運動神経が破壊され、全身の筋肉が萎縮する難病で、病気が進行すると呼吸することも難しくなります。

国内には1万人ほどの患者がいるとされますが、根本的な治療法はなく発症する原因も解明されていません。

■医師 木村守和さん
「そうなのかなと思った時の衝撃が大きかったですね」
これまで医師としてALSの患者を診たことがある木村さん。自分がこの難病と診断されたことに驚き、戸惑いましたが、ALSを多くの人に知ってもらいたいと私たちの取材に協力してくれました。

■医師 木村守和さん
「病気になられる方やご家族のお役に立てる面があればいいのかなと気持ちもあって」

病気は進行していき、2024年5月には、足の筋肉も徐々に衰え、手や口の動きも鈍くなってきたといいます。

■医師 木村守和さん
「ちょっと足のふらつきもでてきた感じ。難しい病気です」

薬による対処療法などを続けてきましたが、患者を診るという医療活動も難しくなっていきました。

それでも地域の医療に役立ちたいと医師の仲間や学生を対象に講演するなど精力的に活動を続けました。
一方で、病は確実に体を蝕んでいました。

2024年12月大学で開いた講演会では、病気が進行する前に録音していた音声を流す形に。
次第に、声は出しづらくなり一人で歩くことも難しくなっていました。


祖父の代から90年以上続いた診療所は休止することに。

3月、自宅を訪れると…木村さんが操作していたのは電動の車いす。
少しの力で進むことができます。

さらにこちらのパソコンでは目の動きで文字を入力し自動音声で会話をすることも。
いまはこのパソコンを使いオンラインでの講演会を積極的に行っています。

■医師 木村守和さん
「難病ALSの啓発活動に取り組みます。障がいになって感じることもあるので医師として関わって行きたいと思います」

これからも医師としてALSと付き合いながら自分らしく生きていきたい…
以前、木村さんは私たちに、こう話していました。

■医師 木村守和さん
「病気に対する理解というか、ALSの方は脳機能は保たれていて身体の動きが悪いだけなんだと、そういう風に社会参加をしてやっている人もいるんだということをもっと広く皆さんにわかってもらう必要はある」

最終更新日:2025年3月28日 10:26
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