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特色ある教育が移住のきっかけに…全国が注目する大熊町の義務教育学校・福島県

2025年3月7日 18:43
特色ある教育が移住のきっかけに…全国が注目する大熊町の義務教育学校・福島県
学校に入るために移住する家族がいるほど、大熊町の教育がいま注目を集めています。
大熊町の義務教育学校「学び舎 ゆめの森」。
■石井アナウンサー
「すごく開放感のある空間で、本がたくさん並んでいるというのが印象的です」

震災前にあった大熊町の小中学校を統合し、2023年、避難先の会津若松市から大熊町の新たな校舎に移転しました。学校には、ある特徴が…
■石井アナ
「1時55分から次の授業が始まるということなんですけどチャイムならないですね」
■増子副校長
「チャイムがなくても子どもたちが時計を見て動くという習慣が身についている」

授業の始まりと終わりを告げるチャイムがありません。それでも子どもたちは時計を見て次の授業の準備をします。さらに…
■増子 啓信 副校長
「1年1組とか2年1組とか3年1組とか決まっている教室がなくて、学習内容に応じてパフォーマンスが発揮できる場所に移動して学ぶという形で取り組んでいます」
授業の進め方も先生と子どもが話し合って決めるなど子どもたちそれぞれの個性を大事にする教育を取り入れています。
■石井アナ
「私たちがイメージしている小学校とはだいぶ違うというか…」
これまでの学校の“普通”を覆した特色ある教育。一度、子どもたちの声が聞こえなくなった町だからこそここにしかない魅力ある“教育”が必要でした。この取り組みに惹かれ、いまでは全国から子どもたちがやってきています。
■子どもたち
「(石井・この学校通ってみてどう?)楽しい!」
■子どもたち
「学校の構造が楽しい」
■石井「どこからきたの?」
■こどもたち
「沖縄」
■こどもたち
「山梨」
■石井アナ「友達たくさんできた?」
■こどもたち
「できましたよ!」
大熊町に校舎が移転した2023年には、こども園とあわせても26人だった子どもの数は現在およそ3倍の74人に増えました。
このうち2割ほどが県外から移住した子です。
2人の息子が通う清水さんもこの学校をきっかけに2024年、千葉県から移住してきました。

■清水春菜さん(41)
「学校という概念を崩されていい意味で、家族みんなで衝撃を受けたのが最初です。前よりも没頭するようになったと思います、好きなものを見つけられたというか、それが別に大熊町に関することだけじゃなくて思考的にそういう感じになっている」
変化は息子だけではないようです。
■清水春菜さん
「夫にも変化がありまして、もともと人付き合いは淡白な人だと思っていたんですけど、1番町のイベント情報を調べ上げて週末のイベントに行こうとしています。」

教育が町のにぎわいを取り戻す1つのきっかけになっていました。
■ゆめの森 増子 啓信 副校長
「教育の魅力というところで移住してくる方々が増えているってところでは貢献している部分かなと思っています。町が一つ一つ活気というか元気を取り戻しているような気持ちになってきて大熊町のこれからを作るということに私自身も関わることができて嬉しく思っています」

震災と原発事故の直後、県内外に避難した児童や生徒は最大で約1万6千人上ります。
ここ大熊町の小中学校には当時、千人を超える子どもたちが通っていました。
いま通っている子どもたちは二桁台と少子化が進んでいるとはいえ決して多い数とは言えません。双葉町はいまも町内で学校の再開はできておらず、2028年度の再開を目指しています。
今後、学校の再開が帰還・移住、そして定住につなげられるか…教育も生活インフラの一つになりつつあると感じます。
最終更新日:2025年3月7日 18:44
福島中央テレビのニュース