「止まり方が甘かったような」身体機能の低下が原因 高齢ドライバーの事故を防ぐには
福岡県警は「激増」という言葉を使って、交通死亡事故が相次ぐ現状に危機感を示しています。中でも目立つのが高齢者が関わる死亡事故です。その高齢者の事故をどう防げばいいのでしょうか。
12日、福岡県筑紫野市の自動車学校では、交通安全の講習会が開かれました。参加したのは66歳から85歳までのドライバー20人です。
■教官と参加者
「止まり方が甘かった気がします。」
「そうですか。」
■筑紫野警察署・前島雅一交通課長
「高齢ドライバーの事故が非常に増えていまして、交差点での出合い頭や安全不確認による事故などが増えている。」
福岡県警が「激増」と表現するほど、県内では交通死亡事故が増えています。ことしに入って11日までに交通事故で93人が亡くなっていて、このうちおよそ6割にあたる53人は65歳以上の高齢者です。
11日、福岡市早良区次郎丸では85歳の男性が運転していた軽ライトバンによる事故に巻き込まれ、近くに住む90歳の男性が命を落としました。車を運転していた男性の前方不注意が事故の一因とみられています。
捜査関係者によりますと先週、福岡市早良区百道で車が学習塾に突っ込んだ事故では、運転していた73歳の男性が事故直後に「アクセルとブレーキを踏み間違えたかもしれない」といった趣旨の話をしていたことが分かっています。
高齢者の事故の原因として指摘されているのが「身体機能の衰え」です。
■加藤雅大記者
「あちらの車、一時停止線を越えました。」
反応の遅れからなのか、高齢のドライバーは停止線を越えて止まりました。こちらのコースでは段差に乗り上げた後、決められた範囲ですぐに停止しなければいけません。
■参加者と教官
「あー行きすぎた。」
「行きすぎましたね。」
すぐにブレーキを踏み停車できない人もいました。
■参加者
「段差の感覚が分からなかったですね。ブレーキを踏むのが少し遅れました。」
「やっぱりすべてにおいて遅くなっているね。ブレーキを踏むときや曲がるときが遅くなっている。だんだん気をつけんといかんね。」
■筑紫野警察署・前島雅一交通課長
「どうしても加齢に伴い身体機能の低下は誰しもあると思うので、自分の状態を認識したうえで運転していただければ。」
【横断中の事故の死者はほとんどが高齢者】
車を運転している時だけでなく、歩いている時も注意が必要です。福岡県警によりますと、特に道路を横断している時に事故に巻き込まれるケースが多く、ことしに入ってから亡くなった21人のうち20人が高齢者でした。
その理由としては
・車が近づいても気づきにくい(視覚・聴覚などの衰えなど)
・道路の横断に時間がかかる(足腰の衰えなど)
・目立たない服装の人が多い
といったことが考えられるということで、警察は、歩行者の側も十分に気をつけてほしいと呼びかけています。