福岡県水巻町で2023年6月、姉を殺害し、通帳を奪ったなどの罪に問われている女の裁判員裁判の初公判が5日、福岡地裁小倉支部で開かれました。女は姉の口座から金を引き出したことは認めた一方、姉の殺害については否認しました。

強盗殺人などの罪に問われているのは、住居不定・無職の辻和美被告（52）です。

起訴状によりますと、辻被告は2023年6月、知人の岡村恵美被告（47）と共謀して、福岡県水巻町二東の町営住宅で、姉のつぐみさん（当時52）に催涙スプレーを噴射した上、首を圧迫して殺害し、通帳を奪っておよそ103万円を引き出したとされています。

福岡地裁小倉支部で開かれた初公判で辻被告は。

■辻被告
「殺意を持っていたことは違います。首を圧迫していないです。」

■裁判長
「殺害はしていないということですか。」

■辻被告
「はい。」

殺害への関与を否認し、岡村被告との共謀についても否認しました。弁護側は「つぐみさんの死は被告の暴行が原因ではない」として「単独での強盗の成立にとどまる」と主張しました。

一方、検察は冒頭陳述で、辻被告と岡村被告はつぐみさんに借金を申し込み、断られたことから殺害を計画したと指摘しました。

現場に残されていたポリ袋からは辻被告の指紋とつぐみさんの血液が検出されていて「辻被告がねじったポリ袋を使うなどして2～3分間、首を圧迫し殺害した」と主張しました。

この裁判では、辻被告と、共謀したとされる岡村被告との関係性の解明がポイントの1つとなります。検察側は5日の公判で、辻被告と岡村被告は20年来の知り合いで、辻被告はこれまでに5800万円あまりを岡村被告やその家族に送金していたと明らかにしました。

今後、証人尋問や被告人質問など7回の公判を経て、8月1日に判決が言い渡されます。