春闘、事実上スタート 中小企業の賃上げどこまで? 大手企業は初任給の“引き上げラッシュ”
今年の賃上げはどうなるのか。22日、春闘が事実上スタートしました。中小企業は大企業に比べ、賃金の上げ幅が小さい状態が続いていますが、茨城県のせんべい店は、独自の工夫で賃上げを実施していました。
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街で聞きました。「賃上げの実感」ありますか?
不動産業(20代)
「年度単位で調整して、少し上げてもらっている」
──いくらくらい上がった?
不動産業(20代)
「3万円くらい」
──給料上がってどうだった?
不動産業(20代)
「うれしかったです。同じ仕事で給料が上がったので、モチベーションになりました」
機械メーカー(25)
「結構賃上げは実感があります。物価高に応じて、それ相応に賃金は上がっている」
一方で…
ホテル業(30代)
「自分の会社は上がっていないのが現状。新しい会社にいこうかなと少し考えている。25~26万円が手取り。ちょっと足りない」
物価高のなか、日本企業の99.7%を占める中小企業の多くでは、十分な賃上げができていないのが現状です。
こうしたなか、22日に経団連と連合のトップによる会談が行われ、“賃上げ交渉”いわゆる春闘が事実上スタート。大手企業だけでなく、中小企業にも賃上げの流れを波及させるため、適切な価格転嫁ができるよう取り組むことを確認しました。
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「news zero」が訪ねたのは、国産米を100%使用したこだわりのせんべいを作る、茨城県の製菓店。従業員26人を抱える中小企業ですが、毎年、賃上げを行っているといいます。そのために…。
根本製菓 根本雅章社長
「こちらの商品は中身が12枚入っていたんですけど、中身が10枚になりました」
せんべいの枚数を減らしたり、スーパーに卸している商品の値段を上げたりするなどで、やりくりをしていました。ただ、今年は米の価格高騰も直撃。
根本製菓 根本雅章社長
「なかなか賃上げは今年は本当に、中小企業として厳しい」
それでも…。
根本製菓 根本雅章社長
「従業員の生活もあるので、自分の給料削って(賃上げを)やらなきゃ。人手不足もありますので、賃上げしないと人も集まらないので」
一方、大手企業では、優秀な人材を確保するため、初任給を大幅にアップする動きが相次いでいます。
住宅大手の大和ハウス工業は、今年の4月に入社する新卒社員の初任給を、今の25万円から35万円に引き上げると発表。
損害保険会社の東京海上日動も、来年4月入社の社員について、引っ越しを必要とするエリアに赴任となった場合、初任給を最大で41万円とするとしています。ほかにも、ユニクロを展開するファーストリテイリングなどが、初任給の引き上げを発表。2023年の一般労働者の全世代の平均月収、約31万8000円を上回る額となっています。
中小企業にも、この賃上げの流れを波及させることができるのか。日本経済全体の行方を左右します。
(1月22日放送『news zero』より)