若者に広がる大麻 「薬物汚染」の実態について経験者が語る
拡大する「薬物汚染」です。「大麻」の場合、摘発された人は、去年統計のある10年間で最多となり、若年化も目立ちます。安易な気持ちで始めて抜け出せなくなる「薬物汚染」の実態について、経験者が語りました。
山県郡北広島町にある一般社団法人「広島ダルク」…。
薬物やアルコール依存症患者の社会復帰を支える施設です。現在の入所者は15人。ここで毎日欠かさないのが、ミーティングです。
■入所者
「薬を使い続けて何回も刑務所に行ってやっと最近ミーティングで話せるようになった」
■入所者
「本当にどうにもならなくなったことに気が付いてまた同じように矯正施設に入るよりもここに(ダルク)帰ってきた方が自分は(薬物を)やめていける と思って帰ってきた」
■入所者
「ここにおるから連れて行かれるからミーティングに出ているのが本音。今度は自分の意思でミーティングにでれるかどうか、 これからの生活の中で考えていこうと思う」
今の思いを率直に話すことで、自らの感情や課題を整理するのもプログラムの一環です。
しかし、「薬物」から抜け出すのは容易ではありません。
「広島ダルク」も、入所者の大半が、社会復帰後に同じ過ちを繰り返すという現実があります。
アリ地獄の様にも見える薬物依存…。若者の間で広がっています。
1月、広島県警は福山大学サッカー部員4人を大麻を所持していたなどとして逮捕…。4人全員が「一緒に吸った」ことを認めています。
県警によると、去年、広島県内で摘発された人のうち7割が30歳未満でした。
10年前と比較すると、違いは歴然です。7割を占めた30代に取って代わったのが20代と分かります。
「大麻」は、若者の間で本当に蔓延しているのでしょうか…。
■20代女性
Q身近で大麻を吸っているという話は聞くか?
「聞いたことはあって、知人がつかまったことはあった」
■20代男性
「友人から話を聞いたりとかはちょくちょくあるQ実際友人は使っている?つかっている人もいる」
■20代男性
「裏路地とかで。これ吸ってみると気持ちいいよとか話しているのを見たことある。ちょっと怖いなと」
若者たちは、どの様にして「大麻」を入手しているのか…。
「広島ダルク」に、1か月ほど前に入所した男性が答えてくれました。
■30代男性
「おもには覚醒剤。マリファナ(大麻)もやった。お酒の延長、僕の中でその当時はお酒とマリファナ(大麻)同じくらいの感覚だった昔よりも入手しやすくなっているんじゃないかなと思う」
Qなんで入手しやすいと思うか?
「インターネットの普及。SNSですよね。マリファナ(大麻)やりたいと思ったら検索すれば誰でも買える」
誰でも手軽に買えると言う薬物…。実際にインターネット上では、複数の売人が覚醒剤や大麻などを売っています。
■30代男性
「売人とつながって今は電話、LINE、メールではやりとりしない。今はやっているのは匿名性の高いアプリ。相手が誰かも分からないし、逆にこっちが誰かも分からない」
支払いの方法にも、大きな変化が…。
■30代男性
「電子マネーカードとかで安いところだと3000円、4000円とかで買えるのでそういうので支払ったり、昔みたいに現金で 払うというのは今の子どもたちは無いんじゃないかなと思う」
「広島ダルク」施設長の遠藤さん…。自身も、20年に及ぶ薬物依存の過去があります。
■広島ダルク 遠藤聡 施設長
みんな簡単に(薬物を)始めるけど、依存症の症状が出ないようにするには年数がかかるほかに使わないという選択肢が あっても、それを知らずに薬物だけにとらわれて生きていくのは余計なお世話だけどもったいないのかなと思う」
手軽に入手できるとされる大麻など薬物の数々…。しかしそれは、一度はまると抜けられない依存症と表裏一体です。安易な誘惑に負けることなく、それを断ち切る勇気こそが、自身を守る最善の手段です。
【2024年2月7日放送】