【わたしらしく生きるプロジェクト】 広島市内の女子高生が立ち上がる! 『生理の貧困』からの脱却を目指して
広島テレビでは『わたしらしく生きるプロジェクト』として、女性や子供たちがより豊かで、快適な人生を送れる社会を目指す人や、取り組みを紹介していきます。今回は、「生理の貧困」をテーマに考えます。
きっかけは、授業で学んだ「生理の貧困」
「生理の貧困」という言葉を聞かれたこともあると思います。経済的な理由などで、生理用品を買えない女性たちが近年、顕在化してきました。その実態を学び、行動を起こした広島市南区にある進徳女子高等学校でを取材しました。
こちらの高校のトイレでは、ある取り組みが実行されています。
■卒業生
「これが、文化祭で署名活動をして、最初に設置されたナプキンです。」
校内のすべての女性用トイレに、生理用ナプキンを常備しました。ナプキンの設置を学校に働きかけたのは2年前。当時の3年生たちです。きっかけは、授業で学んだ「生理の貧困」でした。経済的な理由などで、生理用品を買えない女性たちの存在です。
■卒業生 重川聖那さん
「ニュースとかで取り上げられ始めたばっかりのころで、みんな名前は知っている。でも詳しくは知らないってなって学び始めたのが最初。」
出費がかさむ生理用品
ナプキンだけでなく、生理用ショーツや鎮痛薬など、女性が毎月生理にかける金額は、小さくありません。街の女性たちに話を聞きました。
■女性たちは…
「(月に)1000円から多いときには2000円くらいかかるかな。高いです。安いのどれがあるかな(と、探す)。」
「2000円くらい。サイズ違うものを何個も買わなくてはいけないから、結構それが積み重なって。」
一緒にいた男性は、現状を聞いて「知らなかった。」と話しました。
2022年、厚生労働省が、18歳から49歳の女性3000人を対象に行った調査では、「生理用品の購入に苦労したことがある」と答えた人は全体の8.1%、20代以下では12%を超えています。
進徳女子高校では、以前から保健室でナプキンを借りることはできましたが…
■卒業生 重川聖那さん
「1個借りたら2個返す。倍にして返さないといけないみたいな。生理の貧困習ってから、それ考えたら「いやいや、ないから借りてるのに、なんで増やして返さなきゃいけないのか。」署名を集めて、みんなの声を届けたら(学校も)断れない。」
立ち上がった女子高生たち!
生徒たちは文化祭で、「生理の貧困」に関する展示をし、130あまりの署名を集めました。そして、子ども食堂などから余った生理用品を提供してもらい、すべての女性用トイレへのナプキン設置を実現しました。
■在校生たちは…
「ありがたい。安心感めちゃある。」
「量が多いときとか、体育があるときおいてあると、安心しますよね。」
一方で、「女子高」という環境から離れた卒業生には、新たな気づきもありました。
■卒業生 山本佳乃さん
「(アルバイト先で)立っているのもしんどかったり、イライラしたりあるじゃないですか。「生理中だから」って言ったんですよ。いつものノリで。そしたら「そんなこと言って」「デリカシーがない」「非常識ですよ」みたいな。「あ、言っちゃいけないんだ」って思って。」
■卒業生 寺田朱里さん
「生理をタブー視するのではなく、女性も男性も向き合うべき問題。考える機会があると、もっと変わっていくんじゃないかな、社会全体が。」
生理を「隠すもの」「恥ずかしいもの」とする先入観。経済問題だけでなく、誰もが自分らしく暮らすために「生理」について考えようという、若者からの提言です。
必要な人・時に、生理用品が行渡るような社会へ
「生理の貧困」問題が顕在化したのは、コロナ禍がきっかけでした。調べてみると、広島県では、18の市町の役所などで生理用品を無料で配布しています。しかし、十分周知されていなかったり、「申し出るのが、恥ずかしい」などの理由で利用者は増えていないということです。
また、「生理の貧困」は経済面だけでなく、「理解の乏しさ」も含まれています。理解が広がって、心の壁がなくなり、必要な人・時に、生理用品が行渡るような社会が望まれます。また、進徳女子高校は、男子生徒の多い崇徳高校で、「生理」についての出前授業を実施したこともあります。知らなかったという声や、パートナーを思いやることもできると好評だったそうです。
【テレビ派 2023年9月21日放送】