パリコレにも"花を添える"熊本生まれの「スーパーフラワー」の魅力
5月の第2日曜、2024年は12日が母の日です。
その前週・第1日曜の5日は、「国際天使ママの日」とされています。
天使ママとは、赤ちゃんを亡くしたお母さんのことです。この「もうひとつの母の日」にもスーパーフラワーが一役買っていました。
2024年3月に開かれた世界4大ファッションショーのひとつ、「パリコレ」。歴史ある祭典でドレスに花を添えたのが…熊本生まれの「スーパーフラワー」です。
スーパーフラワーが誕生したのは2017年。熊本地震がきっかけでした。
ウェブデザイナーとして働いていた宮田幸子さん(51)は地震の影響で仕事が激減し、同じ境遇の女性たちと会社を立ち上げました。
■スーパーフラワー協会 宮田幸子代表
「手に職があればどこでも仕事はできますしもっと仕事の幅を広げるのも重要だったかなと思います」
その思いに賛同したのが、地震で益城町の工場が被災したレイメイ藤井。
全国に紙や文具などを販売する創業134年の老舗商社です。
衰退の一途をたどる紙の付加価値を高め、多くの人の働く場ができればと開発に協力しました。
■平井友莉アナウンサー「Qこれも紙でできている?」宮田代表「全部紙でできています」
ひとつひとつ手作りで生み出される繊細な花。贈答用の胡蝶蘭を中心にギフトフラワーの需要が高まり、全国で40人ほどが製作を手がけるまでに広がりました。
■宮田代表「一番喜ばれるのが見て感動してくださる方が多い感動を与えるものは需要が広がっていくと思うので需要をどんどん広げていけたらと思います」
4月、熊本市で開かれたスーパーフラワーのワークショップ。「国際天使ママの日」を前に、赤ちゃんを亡くしたお母さんたちが集まりました。
■澤野典子さん「巻き付けるようにくるくる~とすると」
講師を務めた澤野典子さんも、3年前、生まれたばかりの赤ちゃんとお別れしています。
■澤野さん「(亡くなった赤ちゃん)作ってお家に飾ってあげた時にすごくいい気分になった」
子どもたちをイメージして思い思いに選ぶ色。生きられなかった我が子に贈る花をつくります。
紙に命を吹き込みながら、気づけば笑顔の花が咲いていました。
■流産を経験した参加者「とても自分と向き合う時間と楽しい時間でした。すぐ飾ろうと思いますテーブルの上にひかりちゃんお空に行った子を飾っているんですけど写真と一緒に飾ろうと思います」「Q喜んでくれそう?」「ですね、それがうれしいです」
■澤野さん「スーパーフラワーに出会わなければ今どうしていたかわからないというのは正直ありますし、黙々と作る作業とこの子のためにしてあげられたことがあることが生きていくきっかけになったので、それをきっかけに他の人も温かい時間を過ごして笑顔で過ごせる時間があるのはうれしい」
花びらひとつひとつに思いを込めて…。熊本で生まれた枯れない花は、人々の心を彩りながら世界へと可能性を広げています。
「母の日」は元々、亡くなったお母さんに敬意を表して制定されたものです。
スーパーフラワーは、2024年9月のミラノコレクションでも披露され、2025年に行われる大阪万博の会場でも設置されることが決まっています。