【独自】天草・羊角湾の海水が農地に流入 水門工事業者が扉を外したまま現場離れる 農家から怒りの声
天草市で、水門工事中に海水が誤って農地に流れ込みました。田植えなどに影響が出るおそれがあり、農家から怒りの声があがっています。
2月29日に撮影された天草市河浦町の映像。田んぼや畑のところどころにたまっているのは海水です。
県や地元の農家によりますと、2月28日から29日にかけ、羊角湾の堤防に設置された樋門から大量の海水が田畑に流れ込んだといいます。
■倉田晋幸さん
「きのう、たまたま根元の草を切りに来ようと思っていて、来たら道路から田んぼから全く見えないくらい 海水がたまっていた」
こう語るのはこの場所でコメ作りをする倉田晋幸さん。早期米の植え付けを待つ約9ヘクタールの田んぼが被害にあったとみられています。
■倉田晋幸さん
(水をなめて)「しょっぱいです」
一体なぜ、この事態が起きたのでしょうか。熊本県によりますと、現地では老朽化した樋門を取り換える工事が行われていました。本来は28日の夕方に完了する予定でした。しかし作業が終わらず、業者が門の扉を外したまま現場を離れたということです。
県の聞き取りに対し業者は「土のうで海水が止まる」と話したということですが、実際は夜の満潮時に海水が土のうを乗り越え、流れ込みました。
今は苗づくりの最盛期。しかし田んぼが海水に浸かり、育てた苗を全て廃棄する可能性もあると言います。
■倉田晋幸さん
「海水が入った後、どれくらいで土が元通りになるか自分たちでも分からない状況だからですね。本当にショックです。概算で1000万円から2000万円くらいの被害が出そうなので」
被害は田んぼだけにとどまりません。河内晩柑を栽培する山﨑修さんは4年前、900本を植え、2年後には本格的な収穫を始める予定でした。
■山﨑修さん
「ミカンの木に塩が入ることはまだ経験はあまりしたことないんですが、多分塩害で枯れると思います。これからもまだ全然育てるだけにお金を入れてやっているところです」
Q4年間が無駄になったと?
「無駄です」
山﨑さんによりますと、苗を育てるだけで500万円の被害が出ていて、今後、収穫ができなくなるとさらに被害額が増えるとみられます。
■山﨑修さん
「当たり前のことをしていれば、こういう事故は起こってないと思います。大変なことが起きたと思っています」
熊本県は住民に謝罪するとともに、田畑の土を採取して、分析結果を今後、住民に説明することにしています。