4年に1度の「2月29日」は「無視」される!? 知られざる気象統計の考え方【天気のミカタ】
今年は4年に1度の「うるう年」ですが、4年に1度しかない「2月29日」は、天気の世界では、ちょっと特別に扱われる存在でもあります。
●天気予報で使われる「平年」について
「平年」とは、その時期の、標準の気温や降水量、日照時間などの気象状況を表すデータで、平年の値は、30年分の観測データの平均から求められています。そして10年ごとに更新されていて、現在の平年値は1991年から2020年までの30回分の観測データから計算しています。
しかし、その30年間の間で、2月29日は8回しかありません。では、この日の平年値はどうやって出すのかと言うと…
実は、2月29日の観測データは、平年値の計算には使わず、無視!前後の2月28日と3月1日の平年値を足して2で割ることで、2月29日の平年値としているのです。
2月29日の平年値は、実は2月29日の観測データは、一切使われていないのです。十分な数のデータが集まらない、ということもありますし、少ない観測データの中で極端な天気が現れたりすると、平均の値も極端なものになるため、中途半端な数しか集まらないデータは「なかったもの」として考える方法となっているのです。
●生物季節観測では…?
ウメの花が咲いた、サクラの花が咲いた、初雪が降った、など、観測された日付が記録に残る生物季節観測では、2月29日は、また少し違った取り扱いになります。
気象庁の「生物季節観測指針」という、観測のマニュアルのような資料によりますと、「うるう年の場合、2月29日を3月1日と同日として扱う」ということが記されています。
例えば、ウメの開花の平年日が2月28日で、うるう年の2月29日にウメの開花が観測されたら、カレンダー通りに「平年より1日遅い観測」ということになりますが、平年日が3月1日で、もし、うるう年の2月29日にウメの開花が観測されたら、観測の記録としては「2月29日」で残りますが、この日を3月1日と同じ、と扱うため、「平年と同じ日に観測」ということになります。
また、平年を計算するときには2月29日に観測した記録は「3月1日に観測した」として取り扱い、計算を行うので、生物季節観測の平年値では「2月29日」は存在しないことになります。
平年値を計算するときには存在が消されてしまう2月29日ですが、観測された記録…いわゆる「事実」は残り、気象庁ホームページなどで過去の2月29日の観測データを閲覧することはできます。
果たして今年の2月29日は、どんな気象観測が行われるのか、注目してみましょう。
(KRY山口放送 気象予報士 山本昇治)