世界一の職人兄弟 傷ついたふるさと能登を癒す”感謝のジェラート”
長崎県で開かれたイベント「DEJIMA博」。
地震の被災地応援企画の一環として石川から「マルガージェラート」が初出店し、「能登プレミアムミルク」など店を代表するジェラートが販売されていました。
「食べて被災地を応援しよう」と多くの人が訪れ、好評を博していました。
マルガージェラート・柴野 幸介さん:
「復興に向けて牛乳を作る人がいて、ジェラートを作る人がいて、 それを支える人たちがいて、そ ういった地元の支えで生み出している味なので、それをしっかり味わってもらって、おいしいと素直に思ってもらえれば一番うれしい」
マルガージェラートを運営するのは能登町出身の柴野 大造さん(49)と、弟・幸介さん(45)
ともに、国際大会でチャンピオンとなるなど「世界一のジェラート職人」と評価されています。
おととし野々市市にオープンした「マルガーラボ」はアートミュージアムのような店舗で、ショーケースの中には色とりどり、多彩な味の商品が並びます。
2人がこだわり続けるのは食べた瞬間に風景が浮かぶ「五感で感じるジェラート」だといいます。
兄・柴野大造さん:
「全ての食品をジェラートに置き換える発想というか化学の力。 それでジェラートを作っている。 毎日2、3個は浮かぶ、新しいもの(アイデア)が。化学です、 ジェラートは化学と感性が融合した味の小宇宙」
弟・柴野幸介さん:
「美味しいという笑顔は、なかなか写真で収めない限り、形には残らないので、僕らはそれやっぱりイメージしながらいつも作っている」
地元の生乳など素材にこだわった「メードイン能登」のジェラートは高い評価を受けてきました。
しかし…
元日に起きた能登半島地震。
特に奥能登は甚大な被害を受け、大造さんや幸介さんのふるさとにも大きな爪痕が…。
能登町にある本店では断水し、店の外で地割れなどが起きました。
大造さんが学生時代から通い慣れた輪島市の朝市通りは変わり果てた姿に・・・。
道路も寸断し、能登の食材の仕入れは止まりましたが、それでも野々市の「マルガーラボ」では営業を続けました。
弟・ 柴野幸介さん:
「能登の牛乳は入らないが、石川県内産の牛乳を使ってジェラート屋としてここは営業を止めな かった。今回の震災を通して横の繋がりというか、仲間意識。 能登の人たちは震災ですごく傷を負った。それでも下をずっと向いている人たちは結構少なくて、すぐに前を向いて、次にどうしようかということをすぐに考えている。きっと能登の人たちはそういった強さがある」
2人は、ふるさとの復興を願いながらジェラートを避難所に送り届ける活動も…。
そこで被災者からの感謝の言葉や笑顔に触れ、ジェラートが持つ力を再確認したと話します。
そして、長崎でのイベントの最終日。
この日も多くの来場者が並びました。
柴野幸介さん:
「これを食べて『今度石川県に行きます』と言ってくれた人も結構いたので、長崎と石川のつながりができたようでそれが一番うれしかった。みんなに応援されているということを再認識して、それに感謝しながら作り続けた い」
長崎でたくさんのエールを受けたマルガージェラート。
先月下旬には休業していた能登町の本店も営業を再開し、一歩ずつ復興への歩みを進めています。