【被爆80年】平和への思い紡ぐサクラの木が今 満開に 『嘉代子桜』を守る被爆者とその思い《長崎》
NIBが進める被爆80年プロジェクト「Pass The BATON」
原爆の犠牲となった娘を偲び植えられたサクラが、今年も満開を迎えました。
爆心地から500mの長崎市立城山小学校。
校庭の6本の桜は『嘉代子桜』と呼ばれ、今、満開を迎えています。
『嘉代子桜』は、原爆で1400人あまりが犠牲になったこの学校で、当時、学徒動員中に命を落とした林 嘉代子さんの母親から76年前に寄贈されたもの。
「原爆の悲惨さを伝えていってほしい」と接ぎ木をして育てた苗木は、全国各地に植樹されています。
(被爆者 田中安次郎さん)
「きれいかですね。毎年、満開の時に来るんですよ。いとおしいね。やっぱり生きる勇気をもらいますね。生きるっていうかなぁ。力をもらうんです。これは…」
『嘉代子桜』を見上げているのは、被爆者の田中安次郎さん。
(被爆者 田中安次郎さん)
「サクラの木も年をとってしまって、俺も歳をとっていく。でもね、“頑張れよ” って言われている感じがしますね。この『嘉代子桜』から、“もっともっと頑張れよ” って。
ですから頑張らんといかんと思うんですね。一日一日を大切に生きていかないといかん。
いろんなエネルギーをもらうサクラの木っていうかなぁ。大事にせんといかんなと」
田中さんは「嘉代子桜」に込められた思いとともに、桜の苗木を全国の学校に贈る活動を2009年から続け、これまで300校ほどに贈呈したということです。
(被爆者 田中安次郎さん)
「人間の原点にかえって、やっぱり戦争ちゅうのはしたらいかんなと思いますね。被爆者がいなくなるのは、本当に目の前なんです。ですからこそ、被爆者の人たちの話を聞いてもらって。もっともっと、城山小学校に訪れてもらって。
命っていうのは何かな?生きるって何かな?って、感じてもらえればなぁ」