「核の脅威が高まったと思うか」「核兵器廃絶が実現すると思うか」 被爆地の中高生意識調査《長崎》
長崎は8月9日、広島は8月6日に79回目の「原爆の日」を迎えます。
NIBと広島テレビでは3年前(2021年)から、長崎と広島の中学3年生と高校3年生に、平和学習や核兵器に関するアンケートを実施しています。
今年は、長崎と広島あわせて19校の640人を対象に行いました。
“核兵器” を巡る現状についての質問を中心にまとめます。
ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルのパレスチナ自治区・ガザ地区への攻撃など世界の情勢が混とんとする中、「核の脅威が高まったと思うか」という質問です。
長崎の生徒の93.2%が、「核の脅威が高まったと思う」と答え、2年連続で9割を超えました。
また「核兵器が使われる可能性があると思うか」との質問には「73.4%」が「ある」と答え、これまでの4回の調査で、初めて7割を超えました。
広島で「可能性がある」と答えた生徒は「72.9%」でこちらも同じ結果となりました。
若い世代も核兵器使用への不安が高まっていることがわかりますね。
中学生、高校生のインタビューでも「危機感」を示す声が多くあがりました。
(山里中学校 登立桜和さん)
「ウクライナなどでも戦争が起こっていて、今まで自分が学んできたことが今、海外で起こっていると実感すると、いつでも日本にありえることなんだと思った」
(長崎東高校 福島 優一郎さん)
「核がなかったらなかったで、新技術が開発されたりとかして非人道的というか、悲しい思いをしたりする機会が増える。そういう可能性があるかなと思う」
去年10月からは、イスラエル軍とイスラム組織「ハマス」の戦闘が始まり、多くの市民が犠牲に。
ネタニヤフ政権の閣僚からは、ガザ地区への核使用について「選択肢の一つ」という発言も出ています。
また ロシアは今年6月、同盟国のベラルーシと合同で「戦術核兵器」の演習を始めたと発表しました。
このような状況の中、被爆者の悲願である「核兵器廃絶が実現すると思うか」という質問には、11.9%が「実現する」。
一方で「実現しない」と答えた生徒は、去年よりも2.7ポイント高い55.6%となりました。
(被爆3世 長崎東高校 岩永はるかさん)
「実現できると思う。被爆の話とか平和学習を受けていれば、核をなくそうという気持ちが芽生えてくるので、そういう気持ちを世界中の人々に抱いてもらえれば、無くすことができるのでは」
(山里中学校 竹中真理さん)
「実現すると願いたいが、それぞれの気持ちも違うので国の上部の人たちが被爆のことを知って、1人1人が心を動かしていかないと難しいと思うので、実現してほしいと思う。そういう人たちの心を動かすことが第一に大切」
被爆から79年。
被爆者がいない時代が迫る中、被爆地・長崎の「若い世代への継承」の重要性がますます高まっています。
(山里中学校 モハメド・イズさん)
「3言語をしゃべれるので、日本人に限らず外国人にも、長崎で起きたことを発信できればいい」
(被爆3世 長崎東高校 永井 朱李さん)
「将来、教師を目指しているので、子どもに直接話す機会があるからこそ、これまで学んできたことを下の世代にも話したりすることができればいい」
(山里中学校 川野博之さん)
「唯一の被爆国だから、みんなが原子爆弾とかについて正しい知識を持てる環境にして、世界に発信していくのがいい」
(長崎東高校 平野敦也さん)
「特に長崎、広島の子どもたちは継承していく責任があると思う。グループを作ったりして、実際に講演会みたいなのができたらそれは平和に繋がるんじゃないかなと思う」