6年ぶり開催!浦上百貨センターが30日に「NOKISAKIマーケット」2026年建物解体へ《長崎》
半世紀にわたり、市民の暮らしを支えてきた長崎市の「浦上百貨センター」。
建物の老朽化に伴い、2026年に解体される予定となっています。
市民に寄り添って半世紀。店主たちの思いがあふれます。
(山崎 実さん)
「まだわからないが、令和6年度でひょっとしたら、この防火訓練も最後になるかもしれないので、気合いを入れてやっていこう」
11月はじめ。ゼッケンを着用し始まったのは、毎年 師走を前に取り組んできたという防火訓練です。
(参加者)
「火事です。火事ですよ」
(参加者)
「ケガ人2人ただいま運んでいます」
(参加者)「火事です。訓練です。119番通報しました」
参加したのはこの場所で、店を営む人たち。
長年、ここを守ってきました。
長崎市川口町の「浦上百貨センター」。
鉄筋コンクリート造りの7階建て。
1階は商業スペース、2階から7階まではアパートになっています。
総菜店を営む垣内 美知子さん 74歳は、開業当初からここで働いています。
(「キッチン・ママ・英商」 垣内 美知子さん)
「最初から54年。私は2階に住んでいる。だから店をできるが、よそから通うというのは無理。総菜屋はもうできない」
なつかしの味を求め、今も多くの常連客が足を運びます。
(常連客)
「あったかいご飯で、おふくろの味みたいなとこあるので、気軽に話しかけてくれる。(なくなるのは) 寂しいかなぁ」
昭和の香りを残す飲食店、78歳の宮崎 均さんが営む蕎麦屋「箱根」。
人気メニューは…。
(常連客)
「やっぱり "カツ丼” が一番人気ですか」
(蕎麦屋「箱根」 宮崎 均さん)
「一番人気。前は学生さんがいる頃、昼も夜もカツ丼ばかり食べに来た子もいた。そういう意味でお世話になった」
(常連客)
「たまたまふらっと来て、趣のあるお店だなと思って、そこからずっと通い続けています。ギリギリまで通おうと思っています」
店内は、建物が完成した当時のままだといいます。
(蕎麦屋「箱根」 宮崎 均さん)
「今、78歳なので 80歳ぐらいまでしたいねと話はしていた。できれば、いい場所があれば、移転したいという思いはある」
「浦上百貨センター」が建てられたのは、今から53年前の1971年。
"川口アパート” として建設され、1階には生鮮食品の店や食堂など 47の店が並び、にぎわいをみせていました。
浦上駅にも近く、多い時には130世帯あまりが暮らしていたといいます。
(浦上百貨センター協同組合 牧山 直樹 副理事長)
「すごい人気があったみたい。ここに住んでいる方は、下(1階)に行けば何でもあったので、出入りが結構あった」
経済成長を支えましたが、大型商業施設などが次々と進出した影響で、今では20店舗に。
空いたスペースは、学生による展示会やフリーマーケットなどに活用されてきましたが、 建物の老朽化に伴い、再来年 解体されることに。
(浦上百貨センター協同組合 牧山 直樹 副理事長)
「皆さん仲もいいし、非常にやりやすい。私はここが大好きなので。寂しさはあるが、仕方がないのかなという気持ちもある」
緑の看板がトレードマークの「ブティックさなえ」。
店主の森本 佳子さんは82歳になります。周りには自然と人の輪が…。
オープン当初から「浦上百貨センター」を支えてきた店の一つです。
(ブティック「さなえ」 森本 佳子さん)
「前はお客様がどこからでも来ていた。ダイヤランドから来たり、長与から来たり。商売していて楽しかった、話を聞いても楽しかったし。
あの頃は、一番にぎやかやったね」
垣内 美知子さんが営む惣菜店「キッチン・ママ・英商」。
この日も、常連客の姿がありました。
(常連客)
「こんにちは。また来ました」
(「キッチン・ママ・英商」 垣内 美知子さん)
「きのうやったかな」
(常連客)
「英商さんとも会われんごとなったらさみしか」
(「キッチン・ママ・英商」 垣内 美知子さん)
「なんで。(ここの)みんなとも会われんたい」
(常連客)
「みんなとは別。ここは食べ物が美味しいから。
ここはいつまで(営業するの)?」
(「キッチン・ママ・英商」 垣内 美知子さん)
「あと1カ月…」
(常連客)
「病気もせんで頑張りよる、休みもせんで。全然昔から変わっていない。病気もせんで。ちょっと肩が痛かと言わしたけどね。全然休まない」
今年いっぱいで "店をたたむことにした” という垣内さん。
最後に待っているのが…。
センターでは、自慢の商品を販売する「NOKISAKIマーケット」を、6年ぶりに復活させることになりました。
(フラワーMari 高橋 眞理さん)
「久しぶりのマーケットで皆さんたくさん集まるので、割引を半額にしたい」
(蕎麦屋「箱根」 宮崎 均さん)
「にぎわってほしいとは思う。盛り上がってほしい」
(「キッチン・ママ・英商」 垣内 美知子さん)
「もう終わりやっけんね、そろそろ。
一生懸命 頑張ってつくろうかと」
戦後の復興、そして市民の暮らしを支えてきた「浦上百貨センター」。
(浦上百貨センター協同組合 牧山 直樹 副理事長)
「長崎駅周辺に比べると少しひっそりしているが、それでも何とか長く(最後まで)頑張ってやっていこうという粘り強さがあってすごくそこがいいところ」
そこには、時が過ぎても変わらない "温もり” が残されています。
浦上百貨センターでは、11月30日「NOKISAKIマーケット」を開催する予定で、多くの店の食品や雑貨などが並びます。
隣接する川口公園でも、もちつきや音楽イベントなどが行われるので、ぜひ足を運んでみてください。