「あらゆる手立てを尽くして再稼働を止めるために今後も頑張っていく」 島根原発2号機 運転差し止めの仮処分申請を退ける決定を受けて住民が会見 島根県
中国電力が再稼働に向け準備を進めている島根原発2号機。住民が運転差し止めを求める仮処分の申し立てについて、広島高裁松江支部は「申立てを認めない」ことを決定しました。
原告側住民 土光均さん
「私たちの声が届かなかったということで、非常に残念です」
「司法は住民を捨てた」「声は届かなかった」と書かれた紙を掲げ、落胆の表情を見せたのは、島根原発2号機の運転の差し止めを求め仮処分を申し立てていた住民たち。
全国で唯一県庁所在地に位置する島根原子力発電所。2号機は、事故を起こした福島第一原発と同じ「沸騰水型」と呼ばれるタイプです。去年3月、鳥取県と島根県の住民4人で、島根原発2号機の再稼働に対し、地震や火山の噴火などの想定が過小評価されていて、さらに、避難計画の実効性も不十分だとして、再稼働を認めないように求める仮処分を、広島高裁松江支部に申し立てていました。1年以上が経過し、裁判所は5月15日、この申立てを“却下”。裁判は中国電力側の勝訴となりました。
直後、申し立てをした住民や弁護団らは会見を開き、会場には関係自治体の住民など約50人が出席しました。
海渡雄一 弁護士
「この決定は、いろいろなところで我々の主張したことを認めてはいます。しかし、規制委員会がいいって言っているんだからそれでいいんですって完全に思考停止している」
原告側住民 芦原康江さん
「本訴の中でぜひとも2号機再稼働を止めるという判決を勝ち取っていきたいと思います。12月にも再稼働するって言ってますけど、あらゆる手立てを尽くして再稼働を止めるために今後も頑張っていく」
十分な証拠を提示し、手ごたえもあったと言う今回の裁判。結果には到底納得できないと、現在進行中の本訴での勝利に向け争う姿勢を示しました。
一方、中国電力側も15日午後に会見を開き、今回の判決について受け止めを発表しました。
中国電力 高見和徳 総務部長
「地震及び火山事象等に関する安全性の確保や原子力災害対策等につきまして、裁判所に対し丁寧に主張してきました。本日の決定はこれらの当社の主張が認められたものであり、妥当な決定を頂いたものと受け止めています」
中国電力は予定通り今年12月の島根原発2号機再稼働を目指し、安全対策工事を進めるとともに、さまざまな機会を通して住民に説明し、理解を求めることにしています。