全国で相次ぐ雪崩 雪崩のメカニズムを気象予報士が解説
3月2日正午過ぎ、鳥取県の大山で雪崩に巻き込まれ2人が行方不明となっています。4日も午前7時ごろに捜索隊が出発し、午後からはヘリコプターによる懸命の捜索が行われましたが、行方不明者はまだ見つかっていません。今回発生した雪崩のメカニズムについて、町田気象予報士に解説してもらいます。
中山紗希アナウンサー
「町田さん、今回の雪崩は、どういったことが原因として考えられるのでしょうか?」
町田朱理気象予報士
「今回の雪崩は、冬の最中に発生する表層雪崩と考えられます。そもそも雪崩というのは、山の斜面の雪が重力の作用によって滑り落ちる現象のことです。大雪が降れば、発生する可能性は高くなります」
中山アナウンサー
「表層雪崩とはどんなものなのでしょうか?」
町田気象予報士
「雪崩は大きく表層雪崩と全層雪崩という2つの種類に分けられます。まず全層雪崩ですが、暖かくなる春先に多い雪崩で、積雪した全体が滑り落ちるものです。雪の割れ目やしわなど発生の前ぶれが現れることが多いんですね。一方、今回のケースで考えられている表層雪崩は、降雪中や降雪の直後に起こることが多く、突然発生し、あまり雪崩が発生しない場所でも発生することがあります。そして、すでにあった積雪の上に新たに降り積もった新雪が滑り落ちるため、全層雪崩よりも滑り落ちるスピードが速く、また、より遠くまで流れる傾向があるとされています」
中山アナウンサー
「予想しにくく、さらにスピードも速いということは、逃げ遅れのリスクが高いですね。では、今回の雪崩は、どのように発生したと考えられるでしょうか?」
町田気象予報士
「大山の最深積雪を見ていきます。2月後半は、降雪が少なかったものの、22日から23日に寒気が流れ込み、積雪が10センチほど増えていますね。ただ、その後雪はあまり降らず雪解けがゆっくり進み50センチ前後と同じくらいの数字です。そして、寒気が入った2月29日以降、凍結した雪面の上に再び、雪が降り続き一気に積雪量が増えました」
中山アナウンサー
「雪崩発生の日の天気は、どんな状況だったのでしょうか」
町田気象予報士
「事故が起きた日の天気図を見ると、西高東低の冬型の気圧配置となって山陰には強い寒気が入り、大山にまとまった雪が降りました。積雪が急激に増加し、この新たに降り積もった新雪部分が、いままでの積雪の上を滑り落ちたと考えられます。雪崩は危険性があることはあらかじめわかりますが、場所を具体的に特定することは難しいです」
現在、鳥取県中西部に雪崩注意報が発表されています。この先も油断せず注意してください。