【気象解説】台風10号による大雨に注意 傾斜が緩い土地でも土砂災害の恐れ 「少しでも危険を感じたら早めに自主的に避難を」
依然、ゆっくりとした速度で移動している台風10号。今後の台風情報を気象予報士の町田さんに解説してもらいます。
町田朱理 気象予報士
『台風10号は「強い」勢力で、時速15キロと自転車くらいのスピードで進んでいます。昨日は勢力が「非常に強い」で弱まってはいますが、これは風の強さです。雨を降らせる力は変わらず持っています。台風は、九州北部地方を北上し、その後、進路を東よりに変えて、8月31日にかけて西日本を縦断する見込みです』
動きが遅く、8月31日以降も速度が上がらなさそうで西日本でうろうろと停滞する予想です。
8月30日以降も台風の動きが読めない状況です。進路や発達の程度によっては、山陰でも警報級の大雨となる恐れがあります。この影響で西日本を中心に台風周辺の活発な雨雲がかかり続けるでしょう。今回の台風がもたらす局地的な「大雨」にも注意が必要です。
■愛知県では土砂崩れが…土砂崩れのメカニズムは
8月27日の夜、愛知県蒲郡市で起きた住宅を巻き込む土砂崩れ。住民5人が生き埋めとなりこのうち3人の死亡が確認されました。付近では平年の8月の1か月分を上回る138.5ミリの雨量が観測されていました。
また2021年には、鳥取県倉吉市でも大雨によって工場の裏山で土砂崩れが発生し3人がけがをしました。こうした大雨による土砂崩れ。どのようなタイミングでの発生が考えられるのでしょうか。
鳥取県治山砂防課 竹内ひとみ 係長
「台風だと強い雨が降ることも予想されるので、そうなると逃げる前に土砂災害が起こる可能性もあります」
雨の降り始めから数日間は地盤が緩んでいる可能性があるため、注意が必要だといいます。また山陰両県では、土砂災害が発生する可能性がある地域を危険度別で認識できるマップを公開しています。
鳥取県治山砂防課 竹内ひとみ 係長
「自分が危険を感じて避難しようと思った時には、すでに道路が通れない状態になっていて避難できなかったという声もありますので、気象情報・避難情報を確認していただき、少しでも危険を感じたら早めに自主的に避難をしていただけたらと思います」
一般的に土砂崩れというのは「表層崩壊」と「深層崩壊」の2つに分けられます。今回の愛知県での土砂崩れは比較的傾斜の小さいところから表面の土砂が流れた「表層崩壊」ではないかと考えられます。
「表層崩壊」というのは、地上から最も外側にある50cm~2mほどの土層が崩れる現象です。発生する仕組みとしては、長く雨が降り続き表土に雨水がたっぷり含まれ、地盤がゆるんだことにより、耐えられなくなった表土が崩れると考えられます。土砂崩れと聞くと傾斜が大きいところで発生するイメージがありますが、雨の量が多ければ少しの斜面でもこうした表層崩壊が起こることがあります。
そこでこうした土砂災害に巻き込まれない対策として、
・家の周辺は危険な場所(山や川の近く)かを確認する
・雨が降り続いたときは2階以上で過ごす
・土くさい匂いや地鳴りが聞こえたらすぐに避難する
などがあります。
この先、台風が近づき土の中の雨の量が多くなる恐れがあります。状況をこまめに確認し、危ないと感じたらすぐに避難を行いましょう。 ※8月29日17時現在