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【特集】東日本大震災から13年~備えは進んでいるか~「津波への備え 太平洋側」

2024年3月4日 19:30
【特集】東日本大震災から13年~備えは進んでいるか~「津波への備え 太平洋側」

東日本大震災からまもなく13年を迎えます。
最大級の津波の想定見直しなどで新しい対応が迫られている命を守る備えの現状を検証します。1回目は津波の備え、太平洋側の対策を検証します。

小中野地区自主防災会 京谷博 会長
「地震が起きたときにはもう電気が通っていなかったので」

八戸市小中野地区の京谷さんは当時自宅近くの学校に避難しました。
町内会の人たちが炊き出しを行ったのをきっかけに自主防災会を立ち上げ避難訓練などを進めてきました。
そうした中、2020年に国が示した新しい巨大地震の想定。
日本海溝や千島海溝を震源域とする巨大地震で津波の最大波は八戸市で3メートル上回る26.1メートルに。
東日本大震災より4倍近い高さです。
小中野地区は浸水想定区域がほぼ全域に広がり、それまで津波避難ビルに指定されていた小学校や中学校は高さが足りないとして除外されました。
緊急避難できるのは3階建ての公民館と近くの高校の2か所だけです。

小中野地区自主防災会 京谷博 会長
「公民館で1100名中央高校で300名という受け入れ人数の想定になっていますですけれど小中野全体で住民がだいたい2000名で/この人数では絶対に足りないので」

震災後県内に整備された津波避難タワーは八戸市に4か所五所川原市に2か所おいらせ町に1か所です。

小中野地区自主防災会 京谷博 会長
「川や海の近くの人たちはどこに逃げればよいのかと言っても橋はわたれない公民館まで800メートルあるとなると何かもう一つ避難タワーほしいなというのが私も心に思っています」

港に近い鮫地区。
県の津波「基準水位」は県内最大の25.6メートルです。

鮫地区自主防災会 佐々木眞悦 会長
「26メートルといえばこの2階までくるんですよ おそらく3分の1以上、半分近くくらいは建物の被害の可能性があります」

海抜が高い小・中学校が避難先ですが、課題も残っています。

鮫地区自主防災会 島脇一男 事務局長
「避難所としての小学校の体育館にしてもやっぱり備えがないですよね段ボールベッドとか これはやらないとせっかく避難してきても対応できないだろうと」

急がれる避難先の確保。
八戸市は今年度大型商業施設など民間の建物にも協力を仰ぎ、新しく6か所を一時的な避難場所に追加。現在27か所を指定しています。

八戸市危機管理部 下村晃一 次長
「新たな避難施設、また避難路の整備等につきましては、津波避難計画の中でも課題として当市としては挙げているんですが現在、津波避難施設の整備等に関する基本方針をまとめる作業を行なっています その中で各地区ごとの住民の方々の意見を聞きながら必要な避難施設、また避難路等の整備について、現在取り組んでいるところであります」

専門家は避難計画に適切な避難場所と経路を定めきれていない自治体がまだ多いと指摘します。

八戸工業大学 佐々木幹夫 名誉教授
「正しい避難場所避難経路を早めに設定していかないといけないのですけれどそれが少し遅れていますね 太平洋沿岸の場合は30分から1時間(津波が)来るまでそういう時間があるのでその間にそこにたどり着けばよいだけですからその意識が必要なんですね」

日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震が発生した場合、県の想定では最大5万3千人が死亡し、その9割が津波によるものと試算されています。
津波から逃げられる施設があれば助かる命を見逃してはいけません。

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