死去からきょうで9年 高橋まつりさんの母親が手記公表「未来の子どもたちを守りたい」
大手広告会社「電通」の新入社員・高橋まつりさんが亡くなってから12月25日で9年。母親が手記を公表し、今の思いをつづりました。
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ちょうど9年前の12月25日。自ら命を絶った高橋まつりさん。電通の新入社員で当時24歳でした。
まつりさんの母・幸美さんが、娘の命日によせて、25日に手記を公表しました。
母・幸美さんの手記
「12月はいつも心がざわざわします。まつりを助けられなかったあの日が近づくからです。たとえ『電通過労死事件』が人の記憶から消えても、どんなに時が過ぎても、まつりは大切な愛しい娘。一生忘れることはありません」
2015年に電通に入社したまつりさん。違法な長時間労働で疲弊し、母・幸美さんへこうメールを残しました。
まつりさんからのメール
「人生も仕事も全てがつらいです。お母さん、自分を責めないでね。最高のお母さんだから」
まつりさんの自殺は、長時間労働が原因として、労災と認められました。
もし娘が生きていたら…
母・幸美さんの手記
「まつりは希望を持って電通に入社しました。今年は『入社10年目』。もしまつりが生きていたら、やりがいをもって、生き生きと働いて、休日には大好きな人たちと過ごして充実した人生を生き、将来に夢を描いていたかもしれません」
「『あんなに頑張って生きていたんだから、絶対に幸せになってほしかった』。そう思うと悔しくてたまりません」
まつりさんの命を奪った労災。過労死は昨年度137件あり、うつ病など精神障害は昨年度883件と過去最多です。
母・幸美さんの手記
「国は過労死対策に何がたりないのか、私たち遺族の意見を本気で聞いて、対策を見直してほしいです」
幸美さんが今、願うこと。
母・幸美さんの手記
「先月の11月28日はまつりの誕生日でした。生きていたら 『33歳』。どんな人生があったでしょう。どんなに悔やんでも、どうすることもできないと頭ではわかっているのに『あの時、ああすればよかった、こうすればよかった』とまつりのことばかり考えてしまいます。自分のいのちより大切な娘でした。私の願いは『まつりの幸せな人生』でした。まつりと同じように、苦しんで亡くなる若者がいなくなるように、働く人のいのち、若者のいのち、未来の子どもたちを守りたい。それが今の私の願いです」
「まつりのいない9年も、まつりと共に歩んだ9年でした。誰もが安心して働き、誰もが希望を持って人生をおくれる国になるように願い、まつりと共に力を尽くして参りたいと思います」