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『命の危険は常にありそれは一瞬で現実化する』水泳授業中の死亡事故 検証委員会が最終報告書提出し会見【高知】

2025年3月31日 9:46
『命の危険は常にありそれは一瞬で現実化する』水泳授業中の死亡事故 検証委員会が最終報告書提出し会見【高知】
去年7月、高知市の児童が水泳の授業中に溺れて死亡した事故で、高知市の検証委員会は3月31日、事故の原因は「児童がどこにいるのかを把握しないまま授業を行ったこと」などとする最終の報告書をまとめました。

高知市のたかじょう庁舎で行われた答申式で、プール事故検証委員会の中内功委員長が高知市の永野隆史教育長に対し最終報告書を手渡しました。

この事故は、去年7月5日午前、プールのろ過装置の故障により近くの南海中学校のプールで水泳授業を行っていた高知市長浜小学校の4年生・松本凰汰さん(当時9歳)が溺れて死亡したものです。

高知市は、8月下旬に弁護士や大学教授など外部の有識者をメンバーとした事故検証委員会を設置。7か月にわたって証拠資料の収集や関係者の事情聴取を行い、報告書をとりまとめました。

報告書は331ページに及び事故発生の原因や再発防止策を分析しています。
この中で事故発生の直接の原因は「教員が、凰汰さんがどこにいるか把握しないまま、『け伸びばた足』を行わせたこと」だと特定。

「凰汰さんの身長からすれば中学校のプールでは足が底につかず溺れる可能性があり、教員らが注意深く見守らなければならない児童の一人であったことは明らか」だと指摘しました。

また、事故発生の主な原因として「水泳の授業全体を指揮していた教員が速やかに凰汰さんがいたグループの指導に参加しなかったこと」を挙げています。

このほかの事故原因として、教員の間で情報共有が不足し、役割分担の協議が行われなかったことや教育委員会や長浜小がプールの深さに対する対策を講じなかったことなどを挙げています。

また報告書では、再発防止策として自分の学校のプールが利用できない場合、ゆとりあるカリキュラムマネジメントを心がけることや、授業の実施者と監視者の役割を分けて行うことなどを求めています。

最終報告書について31日午後、検証委員会が会見を開きました。

中内委員長は事故当時、教員が、凰汰さんの居場所を把握しないまま授業を行っていた背景として、心理的な焦りがあったと指摘しました。

■中内委員長
「(凰汰さんがいた)基礎グループは泳ぎが苦手なグループなんだから当然2人で見るべきだと思っていたけど、そこが皆さんの共通認識になっていなかったのが一つ。人数多くて見きれないから教頭先生であったりとか、1組の担任に声をかけるが、なかなか来てくれなかったのでさらに焦った」

そして、南海中で水泳授業が行われるまでの学校の対応について次のような問題点を指摘しました。

■中内委員長
「6月21日の第1回の4年生の水泳授業の際に凰汰さんを含む3人の児童が溺れかけ、救い上げられるという事実が発生しました。しかしながら、これに関する保護者への連絡はなく、その後も本件当日に至るまで、長浜小においては水深に対する対策は何ら講じられなかった」
「保護者に連絡しないと、とも思ってないので、そこまでの重大ごととは考えなかったということだと思う」

そして、再発防止に向けて水の危険性を強く訴えました。

■中内委員長
「水の事故って息ができなくなると誰だって死ぬ。目を離すなんてあったらいけないし、命の危険は常にあってそれは一瞬で現実化するところを今回の1組2組の担任だけじゃなくて、全体に必要なことだと思うので、そこを私は強調したい」

高知市教育委員会は、今回の報告書を踏まえ例年通り今年6月からプール授業の再開にむけて準備を進めたいとしています。

また、高知市の桑名市長は次のように述べました。

■桑名市長
「報告書を読んで、亡くなった松本凰汰さん、本当にいろんな原因、要因が重なってこのような結果を生んでしまいました。どこかで1つ立ち止まっていたら、このような事故がなかったと思いますが、このような事故が起こったこと2度と起こしてはいけない。これから学校現場についてもこのような事故が起こらないように改めて対策を練りなおさなくてはいけない。その覚悟を持ったところです」

最終報告書は全文が高知市重大事案検証室のホームページにアップされています。

検証委は報告書の最後に「凰汰さんの失われた命や希望にあふれた未来は永遠に戻ってくることはなく残されたご遺族の悲しみが癒えることは決してない。学校、教育委員会は事故の発生が取り返しのつかないものであることを深く胸に刻み再発防止を徹底していただきたい 」としています。

この最終報告書で提案された再発防止策を各学校現場や教育委員会が徹底して実行し、これからこどもたちの命を守ることが不可欠です。
最終更新日:2025年3月31日 9:46
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