世界初!海中の藻『ビゲロイ』の培養に成功 高知大特任講師の萩野さん サイエンス誌最優秀論文に【高知】
世界的な科学雑誌サイエンスの年間の最優秀論文に、高知大学海洋コア国際研究所の特任講師・萩野恭子さんなどが手がけた論文が選ばれました。
萩野さんが研究しているのが、海水に漂う小さな藻。世界の注目を集めた理由にスポットをあてます。
科学雑誌「サイエンス」。アメリカの科学振興協会が発行する、世界で特に権威がある学術雑誌の1つです。去年サイエンスの表紙を飾ったのが、「ビゲロイ」と呼ばれる海中を漂う小さな藻を培養したもののイラストです。
この藻に関する論文を発表した著者の1人が、高知大学海洋コア国際研究所の特任講師・萩野恭子さん(52歳)です。岐阜県出身で高知大学理学部、大学院を経て北海道大大学院博士課程を修了。2005年にビゲロイの研究を始めました。
萩野さんなど研究グループが手がけた論文はサイエンスの表紙に掲載されただけでなく、さらに2024年の10大ニュースに選ばれ、最終的に年間の最優秀論文に選ばれました。小さな藻(ビゲロイ)の培養に世界で初めて成功し、生物の進化の究明に大きな功績を残したことが高く評価されたのです。
萩野さんが研究する海中の藻「ビゲロイ」。わずか100分の1ミリから100分の2ミリほどの大きさです。
萩野さんなどの研究の何がすごいのか。
その1つが、ビゲロイが自分で窒素を取り込むことができることを初めて確認したことです。
窒素はアミノ酸やタンパク質の主な元素で、体づくりに欠かせないものです。空気中の8割と大部分を占めていますが、直接空気から取り込むことはできず、植物は根から、動物は食べ物から取り入れます。
一方、ビゲロイは窒素をアンモニアに変える細菌を体内に取り込む「細胞小器官化」をしていて、自ら窒素を取り込むことができるのです。
これは萩野さんとアメリカのカリフォルニア大学サンタクルーズ校チームとの共同研究で分かったもので、酸素を使ってエネルギーを作るミトコンドリアや、植物の細胞内にあり光合成をおこなう葉緑体など世界でもわずかしか分かっていない細胞小器官の例として歴史的な発見となりました。
この発見で、将来的に窒素肥料を必要としない農作物の生産につながる可能性があるということです。
さらに、萩野さんなどの研究のすごい所、もう1つが「ビゲロイの培養」です。
約20年にわたってビゲロイの研究を行ってきた萩野さん。2006年からはビゲロイの培養を試みる研究を始めました。しかし、失敗ばかりが続いたそうです。
海水を採取し、そこから顕微鏡で小さなビゲロイを見つけ培養を試みることを繰り返しましたが、1度も成功することはありませんでした。
そこに助け舟を出してくれたのが、高知大学で自身も藻の研究を行う足立真佐雄教授でした。
足立教授は高知県産のところてん由来の培養液を使うことを萩野さんに勧めたところ、ビゲロイの安定培養に初めて成功。培養の研究を始めて11年。2018年のことでした。
この培養の成功により研究が大きく前進。ビゲロイが窒素を自ら取り込めることが明らかになったのです。
足立教授も今回の論文の共同執筆者として名を連ねました。
萩野さんは今後、海外の海でのビゲロイの採取に向け、近くハワイに向かうということです。
サイエンスの最優秀論文に選ばれ科学の飛躍に貢献した萩野さん。研究への熱量はさらに大きくなりそうです。
萩野さんが研究しているのが、海水に漂う小さな藻。世界の注目を集めた理由にスポットをあてます。
科学雑誌「サイエンス」。アメリカの科学振興協会が発行する、世界で特に権威がある学術雑誌の1つです。去年サイエンスの表紙を飾ったのが、「ビゲロイ」と呼ばれる海中を漂う小さな藻を培養したもののイラストです。
この藻に関する論文を発表した著者の1人が、高知大学海洋コア国際研究所の特任講師・萩野恭子さん(52歳)です。岐阜県出身で高知大学理学部、大学院を経て北海道大大学院博士課程を修了。2005年にビゲロイの研究を始めました。
萩野さんなど研究グループが手がけた論文はサイエンスの表紙に掲載されただけでなく、さらに2024年の10大ニュースに選ばれ、最終的に年間の最優秀論文に選ばれました。小さな藻(ビゲロイ)の培養に世界で初めて成功し、生物の進化の究明に大きな功績を残したことが高く評価されたのです。
萩野さんが研究する海中の藻「ビゲロイ」。わずか100分の1ミリから100分の2ミリほどの大きさです。
萩野さんなどの研究の何がすごいのか。
その1つが、ビゲロイが自分で窒素を取り込むことができることを初めて確認したことです。
窒素はアミノ酸やタンパク質の主な元素で、体づくりに欠かせないものです。空気中の8割と大部分を占めていますが、直接空気から取り込むことはできず、植物は根から、動物は食べ物から取り入れます。
一方、ビゲロイは窒素をアンモニアに変える細菌を体内に取り込む「細胞小器官化」をしていて、自ら窒素を取り込むことができるのです。
これは萩野さんとアメリカのカリフォルニア大学サンタクルーズ校チームとの共同研究で分かったもので、酸素を使ってエネルギーを作るミトコンドリアや、植物の細胞内にあり光合成をおこなう葉緑体など世界でもわずかしか分かっていない細胞小器官の例として歴史的な発見となりました。
この発見で、将来的に窒素肥料を必要としない農作物の生産につながる可能性があるということです。
さらに、萩野さんなどの研究のすごい所、もう1つが「ビゲロイの培養」です。
約20年にわたってビゲロイの研究を行ってきた萩野さん。2006年からはビゲロイの培養を試みる研究を始めました。しかし、失敗ばかりが続いたそうです。
海水を採取し、そこから顕微鏡で小さなビゲロイを見つけ培養を試みることを繰り返しましたが、1度も成功することはありませんでした。
そこに助け舟を出してくれたのが、高知大学で自身も藻の研究を行う足立真佐雄教授でした。
足立教授は高知県産のところてん由来の培養液を使うことを萩野さんに勧めたところ、ビゲロイの安定培養に初めて成功。培養の研究を始めて11年。2018年のことでした。
この培養の成功により研究が大きく前進。ビゲロイが窒素を自ら取り込めることが明らかになったのです。
足立教授も今回の論文の共同執筆者として名を連ねました。
萩野さんは今後、海外の海でのビゲロイの採取に向け、近くハワイに向かうということです。
サイエンスの最優秀論文に選ばれ科学の飛躍に貢献した萩野さん。研究への熱量はさらに大きくなりそうです。
最終更新日:2025年3月6日 19:11