【袴田さん再審】6回目の公判…「5点の衣類」が犯行着衣と主張する検察側に弁護側が反論(静岡地裁)
袴田巌さんの再審=やり直しの裁判の6回目の公判が静岡地裁で行われました。16日は「5点の衣類」が袴田さんの犯行着衣と主張する検察側に、弁護側が反論したほか、単独犯ではなく、複数による犯行であるとの主張を展開しました。
(佐野 巧 記者)
「ひで子さんの手元には亡くなられた西嶋弁護団長の写真」「第6回公判に向け弁護団が裁判所員入ります」
1月7日に亡くなった弁護団長の思いを胸に始まった、袴田さんの第6回公判。16日朝、浜松市内から静岡地裁へ向かう袴田巌さんの姉ひで子さんが取材に応じました。
(袴田 ひで子さん)
「気持ちはあんまり変わりない、裁判が終わるまで。5月22日に終わるというので、やっぱりうれしい、ほっとする。早く終わってくれないかと思っている」
1966年、旧清水市で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん。
2023年10月から始まった再審公判で、検察側は「犯人はみそ工場関係者の袴田さんで、犯行着衣の5点の衣類をみそタンクに隠した」などと袴田さんの有罪を主張。
一方、弁護団は「事件は強盗殺人ではなく、犯人の恨みによる殺人で、複数人による犯行」などと指摘し、無罪を主張しています。
6回目となる16日の公判は、事件から1年2か月後に発見された、検察が犯行着衣と主張する「5点の衣類」について、弁護団は「ねつ造された証拠」と反論。このうち「5点の衣類」の「ズボン」の傷と、おおむね整合する位置にある袴田さんのすねの傷について、逮捕直後の身体検査で確認されず、約1か月後の身体検査で傷が確認されたことから、取り調べ中の暴力などで捜査官がケガを負わせた以外ありえないと主張。ズボンのすねの傷は、袴田さんの自白に合わせて作られた「ねつ造された証拠」と反論しました。
また、法廷には袴田さんの犯行着衣とされている「5点の衣類」のうち「スポーツシャツ」や「ズボン」が展示され、ひで子さん立ち合いのもと、裁判長らが衣類の損傷した位置などを確認しました。
また、弁護団は、検察が再審請求審で開示した被害者の遺体の写真から、“縄などで縛られたような跡”が確認できたと主張。4人とも身動きが取れず、胸や背中を中心に刺されていたことから、初公判の冒頭陳述で訴えた「複数人による犯行」を裏付ける新たな証拠だと主張しました。