【速報】知床・観光船沈没事故集団提訴「誰も責任負っていない」弁護団「最も重大な過失が2点」
きょう(2024年7月3日)、札幌地裁に訴状を提出したのは、知床・観光船沈没事故で死亡・行方不明となっている乗客14人の家族ら29人です。
2022年4月に知床沖で発生した観光船「KAZUⅠ」の沈没事故を受け、乗客家族らは運航会社の「知床遊覧船」と桂田精一社長に対し、約15億円の損害賠償を求めています。
午後3時から、弁護団が記者会見を開き、訴えの内容について説明しています。午後6時半からは、乗客家族らが裁判に対する思いを語る予定です。
【訴状より】
◇原告
乗客14人の家族ら29人
◇請求総額
14億9999万4333円
◇被告
・有限会社知床遊覧船・桂田精一氏
◇請求する損害
逸失利益、慰謝料、被害者の携行品の損害、葬儀費用その他の実費
◇知床遊覧船の責任の根拠
・商法390条「船舶所有者は、船長その他の船員がその職務を行うについて故意又は過失によって他人に加えた損害を賠償する責任を負う。」より、事故の発生は少なくとも船長である豊田船長に過失があったこと。
・商法590条は「運送人は、旅客が運送のために受けた損害を賠償する責任を負う。ただし、運送人が運送に関し注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りではない。」と定めていること。
・国土交通省が定める標準運送約款では「当社は、旅客が、船員等の指示に従い、乗船港の乗降施設に達した時から下船港の状況施設を離れた時までの間に、その生命又は身体を害した場合は、運送人が運送に関し注意を怠らなかったことを証明した場合を除き、これにより生じた損害について賠償する責任を負います。」と規定されていて、被告は独自の約款を定めていないから、これが適用されること。
◇桂田氏の責任の根拠
・共同不法行為前甲板部のハッチ蓋を確実に閉鎖できない状態のまま出航したこと、運航基準上出航を注視すべき天候(風波浪)が予想されていたにもかかわらず出航したこと。
・代理監督者責任知床遊覧船において、社長、安全統括管理者、運航管理者の3つを兼務している桂田氏は、豊田船長を指揮監督できる唯一の者であり、豊田船長は桂田氏の指揮監督の下で運航をしていたことから、桂田氏は船の運航について使用者に代わって事業を監督する者に該当すること。