医師にも“2024年問題” 残業規制で長時間労働改善も…地方は医師不足を懸念 北海道
時間外労働の上限が適用される、いわゆる「2024年問題」が医療の分野にも広がっています。
医師の長時間労働が改善されるという利点がある一方で、地方医療への影響が懸念されています。
(江川潔医師)「こんにちは」
(患者)「こんにちは」
(江川潔医師)「お正月楽しかった?お年玉もらった?」
(患者)「もらった」
釧路赤十字病院の小児科で診療を行っている江川潔医師は、札幌の北海道大学病院から月に1度派遣されている「出張医」です。
1度の派遣で40人ほどの患者を診察するといいます。
(患者の母親)「(小児科の)先生も少なくなってきて、遠くから来るのは大変だと思うが、こちらからはなかなか行けないので感謝しています」
しかしことし4月以降、江川医師のような出張医が派遣されなくなるかもしれないという懸念があります。
2019年に労働基準法が改正され、時間外労働の上限が規定されました。
ことし4月から、ドライバーや医師にも法律の改正が適用され、現在無制限の勤務医の時間外労働は、原則「年間960時間」に規制されます。
24時間体制の医師は、過酷な勤務を強いられることもあります。
おととし、神戸市の病院に勤務していた26歳の男性医師が過重労働により自ら命を絶ちました。
亡くなる直近1か月の時間外労働は200時間を超えていたといい、医師の健康を守り、質の高い医療を提供するため、制度を求める声が高まっていました。
(江川潔医師)「僕らとしては地方の医療に穴を開けられないという強い意志でやっている。医者の労働の上限があるべきという考え方は間違いではない」
今回の法改正で医師の長時間労働が改善される一方、懸念も…
(釧路赤十字病院 近江亮院長)「労働規制がかかると地方に派遣できなくなることが現実として起こる可能性があると思う」
医師不足を補うため、釧路赤十字病院には毎月延べ60人ほどが大学病院から出張医として派遣されていますが、時間外労働の規定が設けられると、地方への医師派遣が難しくなる可能性もあるといいます。
(釧路赤十字病院 近江亮院長)「24時間、特に救急は途絶えてはいけないインフラだと思っているので、マンパワーが足りなくなった時点で、救急が途絶えてしまう可能性がある。特に北海道だと札幌から離れた地域は非常に厳しくなるのではということが不安」
2か月後に迫る「医師の2024年問題」。
過重労働の改善と地域医療維持の両立が求められています。