寿都も神恵内も「候補地」核ごみ文献調査報告書案公表 町長は村長は…そして知事は 北海道
北海道寿都町と神恵内村で続く高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の最終処分場建設に向けた文献調査について、報告書の原案が公表されました。
いずれのマチも次の概要調査に進む「候補地」と示されています。
寿都町でペンションを営む槌谷和幸さん。
敷地内に看板を掲げています。
「核のごみ、拒否」。
槌谷さんは町内で続く「核のごみ」を巡る文献調査に反対の立場です。
(槌谷和幸さん)「(国は)一回手を上げたら必ずそこを狙ってくる。離さないというのが僕らの考え方だから」
2020年から寿都町と神恵内村で文献調査を進めてきたNUMOは、2024年2月13日の会議で報告書の原案を公表しました。
(経産省の担当者)「地域の皆さまの声にしっかりと向き合い、説明を重ねながら文献調査プロセスを丁寧かつ確実に進めてまいります」
原案では、寿都町は「全域」神恵内村は南側の「一部」が次の概要調査の候補地と示しています。
いずれも処分場を建設するには十分な面積です。
日本はエネルギーの一部を依然として原発に頼っています。
原発で使い終わった核燃料はほとんどが再利用されますが、5%は使い道のない高レベルの放射性廃液が残ります。
これが「核のごみ」です。
ガラスと混ぜて固め、ステンレス製の容器に密閉しますが、この時の表面放射線量は毎時1500シーベルト。
人が近づけば20秒で死にいたるレベルです。
このため、周りを金属と特殊な粘土で囲み、地下300メートルよりも深い地層に埋めて処分します。
安全になるまでに10万年かかります。
3段階の調査が必要な最終処分場の建設地はまだ決まっていません。
日本で長年置き去りにされてきた課題です。
STVは13日、寿都町の片岡町長に取材を申し込みましたが、応じてもらえませんでした。
町長は概要調査に進む前に住民投票で是非を問う考えですが「全国でほかの自治体が手を上げなければ、住民投票は実施できない」とこれまでにコメントしています。
神恵内村の高橋村長も現時点で明言を避けました。
(神恵内村 高橋昌幸村長)「いずれにしても村民の意向を確認してから進むか退くか決めるから、それを集約して村としての判断、私としての判断を決めたい」
調査の移行には知事の同意が必要ですが、鈴木知事は「反対意見を述べる」と繰り返し主張しています。
寿都町の槌谷さん。
マチの現状に警鐘をならします。
(槌谷和幸さん)「自分たちの子孫とかのためにこの町をどう残していくのか、あまり考えていないと思う。マチは住民が作るんだという気概を持ってほしいと思う」
いまだに道筋を見い出すことができない核のごみを巡る問題。
文献調査の報告書の完成には少なくともあと数か月かかる見込みです。