傍聴券求め350人注目初公判すすきの殺人 異様な親子関係詳らかに 検察・弁護主張真っ向対立
(石黒記者)「浩子被告の初公判を前に、裁判所では多くの報道陣が詰めかけ、入口には傍聴券を求める人で長蛇の列ができています」
田村瑠奈被告ら親子3人が殺人などの罪で起訴された事件。
2024年6月4日に母親の浩子被告の初公判が開かれました。
裁判では、50の傍聴席に対し357人が抽選に並び、猟奇的な事件への関心の高さがうかがえました。
(傍聴希望者)「娘さんに対しての協力みたいな感じにとなると思うが、親としての気持ち、心情も含め気になります」
死体遺棄ほう助と死体損壊ほう助の罪に問われている浩子被告。
(石黒記者)「最大の争点は家に遺体の頭部があることなどを容認したことこれが“ほう助”という犯罪になるかどうか」
裁判は午後3時に始まりました。
白髪交じりの髪をしばり、メガネをかけて法廷に現れた浩子被告はー
「容認は違います」「手助けするつもりは全くなかった」
冒頭にこう語った浩子被告は「とても耐えられない状況でした」と、涙ながらに起訴内容を否認しました。
(森永記者)「現場にブルーシートがかけられました。白い防護服を着た捜査員の姿も見られます」
2023年7月、札幌・すすきののホテル客室から恵庭市に住む62歳男性の遺体が頭部のない状態で見つかりました。
逮捕・起訴されたのは田村瑠奈被告と父親の修被告、そして母親の浩子被告の一家3人です。
男性の頭部はホテルから持ち去られ、札幌市厚別区にある自宅の2階浴室から腐敗が進んだ状態で発見されました。
世間を震撼させた猟奇的な事件。
それぞれの役割とはー
(阿部記者)「瑠奈容疑者はホテルの浴室で背後から刃物で男性を刺して殺害したとみられています」
起訴状などによりますと、実行役とされるのが娘の瑠奈被告です。
背後からナイフで男性の首のあたりを刺し、この傷が致命傷となりました。
その後、ノコギリなど複数の刃物で首を切断し頭部を持ち去りました。
父親の修被告は事件当日、瑠奈被告をホテル付近まで送迎していたとされます。
そして、母親の浩子被告は男性の頭部を自宅に隠すことを容認し、瑠奈被告から頼まれた頭部を損壊するビデオ撮影を修被告に依頼して、遺体の遺棄や損壊を手伝ったとされています。
2023年5月、すすきののダンスクラブで撮影された映像です。
瑠奈被告と被害にあった男性が親密そうに体を寄せ合っている様子が映っていました。
そして、すぐ近くには2人を見つめる修被告がー
これが親子と男性の最初の出会いで、このあとに瑠奈被告と男性がトラブルになったとみられています。
2023年8月から半年間の鑑定留置を受けていた親子3人。
札幌地検は3人を殺人やほう助などの罪で起訴しました。
そして、4日に開かれた母親の浩子被告の初公判。
「頭部の存在を知ったときはすでに浴室にあった」「異常だなと思ったが私は娘に置いていいと言っていない」
裁判では、精神的に不安定になると手が付けられなくなる瑠奈被告への配慮から、両親が言動を一切否定できない状況が背景にあったことが明らかになりました。
弁護側は「警察に通報や娘を出頭させなかったことがほう助にあたるとは言えない」などとして無罪を訴えました。
一方で、検察は「事件前に瑠奈被告が被害男性との間に性的トラブルがあり、殺意を募らせていたことを認識していた」と指摘。
娘の犯行を容認したと主張しました。
主張が真っ向から対立した今回の裁判。
元検察官の中村浩士弁護士は、この裁判の持つ意味をこう指摘します。
(中村浩士弁護士)「動機の一端であったり、背景事情、実際に現場で何が起こっていたのか、そこを解明する手がかりがいろいろと得られてくる。修被告、瑠奈被告への判決への影響がかなり大きい。すごく重要な裁判になると思います」
頭部を自宅に隠すなどした瑠奈被告の犯行を、容認したとされる浩子被告。
「ほう助」という犯罪が成立するのかが争点となります。