SnowManファンもげんなり… ”ライブ祭り”で露呈…札幌ホテル不足問題の”なぜ”
先日、アイドルグループのコンサートで札幌市の「ホテル不足」が話題となりました。
道外から訪れる観光客を受け入れるためにどう満足度を高めるのか…
札幌特有の事情が見えてきました。
(ファン)「Snow Man、最高!」
(ファン)「Snow Man頑張れ!」
今月、札幌市で開かれた人気アイドルグループ「Snow Man」のライブです。
2日間でのべ10万人以上とみられるファンが札幌を訪れ、お祭り騒ぎになりました。
イベントに伴い、こんな問題がー
(金澤記者)「会場内ではまだアンコールが行われているということですが、足早に帰路につく人の姿が見られます」
(金澤記者)「宿はどこですか?」
(愛知から来た人)「旭川です。この辺のホテルがとれなくて、まだ観たかった…」
話題となったのが、ファンによる「ホテル争奪戦」。
札幌に泊まれなかった人の中には、旭川など100キロ以上離れた場所に宿をとる人もいました。
温浴施設の休憩スペースに泊まることにしたファンの姿も。
(兵庫から来た人)「お湯にゆっくりつかって、寝られたら寝ます、その辺で。ホテル増やしてください、お願いします」
ホテル争奪戦にうんざりしてしまったファンもいるようで…
(東京から来た人)「ホテルも飛行機もこんなに苦労するなら、北海道は次からはやめとこうかという話はしていました」
ホテル不足のイメージは観光都市・札幌にとって致命的です。
統計によると、札幌市内の宿泊施設の定員は7万4300人。
一方、市町村の人口ランキングで札幌市より下の福岡市は、人口が30万人ほど少ないにもかかわらず、宿泊定員は1万3000人分ほど多いのです。
ホテル不足を解消するカギを専門家に聞きました。
(札幌国際大学 田中洋一郎教授)「やはり夏の繁忙期と冬の閑散期の格差があるというところで、中々投資が進まないというところがいちばんの原因かと思います」
雪が降っている方が観光客が集まると思いきやー
実は札幌、6月から9月ごろにかけての繁忙期と比べて、冬は観光客が半分ほどに減るのです。
そのため、カギとなるのが”暖かい国々”からの外国人観光客です。
(中国・広東省から来た人)「雪を見たことがなくて、これが初めてです」
(ベトナムから来た人)「きょう雪を見られたのはラッキーでうれしい」
(ベトナムから来た人)「また札幌に来たい」
急増しているように見えますが、実は観光客全体に占める割合は1割程度です。
(札幌国際大学 田中洋一郎教授)「冬に魅力を感じて北海道に来ていただけるのは外国人が圧倒的に多いので、外国人への施策が必要。(需要を)底上げする取り組みで投資も生まれるのではないかと思います」
冬の需要の底上げにはホテルの取り組みも重要です。
鉄板で焼き上げるのは北海道・月形産の和牛ステーキ!
こちらのホテルでは2024年9月から朝食メニューを一新しました。
ザンギや味噌ラーメンなど道産グルメが充実。
8種類の魚介が用意された海鮮丼コーナーでは、なんとイクラが盛り放題です。
(金澤記者)「新鮮な海鮮の風味が口いっぱいに広がります。自分で好きなだけ盛ったイクラを朝から食べることができるのはとても幸せです」
青森から来た一家は朝からテンションがMAXに!
(青森から来た人)「3杯、3杯かけよう」
(青森から来た人)「そんなにかけてもいいの?めっちゃかけるじゃん」
(青森から来た人)「ホームページのイクラが美味しそうだったので。もう1回来られるなら、旅行としてこのホテルに来たい」
このホテルを選んだきっかけは、話題にあがっていた「朝食」。
ホテル自体が旅の目的地になれば、安定した需要につなげることができます。
(ベッセルイン札幌中島公園 藤沢勇作支配人)「北海道に来てよかったなということでリピートにつながるし、魅力を知ってもらうための発信源に我々がなれればなと思います」
別の手段で客室を増やすホテルもー
受付にフロントスタッフの姿はありません。
道内で急増している「無人ホテル」です。
チェックインは備え付けのタブレット端末を使います。
(スタッフ)「いらっしゃいませ~」
(金澤記者)「スタッフの方がうつりました」
画面越しに伝えられた暗証番号でキーボックスを開き、カギをゲット。
ドアを開けると、モダンな雰囲気の4人部屋が広がっていました。
台所や洗濯機など長期滞在する人のための設備も充実していて、外国人観光客やビジネス客に人気です。
なぜ「無人」にしたのでしょうか?
(マッシブサッポロ 川村健治社長)「昨今人手不足が叫ばれていますが、今後ますますそういう状況が進んでいくだろうと。スタッフの確保が難しいという状況は、今後もますます続くとみています」
この会社では、常駐のスタッフが必要ない「無人ホテル」をコロナ禍前の1.5倍となる300室まで増やしました。
(マッシブサッポロ 川村健治社長)「札幌というマチ、北海道全体が観光をもっと強めていく中で、安定的に部屋を増やしていくことが必ず必要になってくると思います。観光の活性化に貢献していきたいと思います」
世界で輝く観光都市を目指す札幌市。
観光客が1年中安心して滞在できるマチづくりが求められています。