138年の歴史 かつては400人 今は全校児童22人 来年3月で閉校 長野市の清野小で閉校式
全校児童22人。来年3月で閉校する長野市の清野小学校で、先週、少し早い記念式典が開かれました。
卒業生など300人以上が集まり、笑顔で、学校との別れを惜しみました。
長野市南部に位置する人口およそ1150人の長野市松代町清野地区。地区唯一の小学校・清野小。明治時代から138年の歴史を持ちます。多い時には400人が通っていましたが、いまは全校児童22人。今年度での閉校が決まっています。
「おはようございまーす」
いつもなら休みの土曜日、子どもたちが登校してきました。この日は、節目の日、ひと足早い閉校式典です
歴代の卒業生をはじめ、およそ300人が学校にやってきます。
「おはようございます。ドキドキしていますか?」
音楽教諭&全児童
「しています。」
教室いっぱいに響いた22人とは思えない大きな歌声。子どもたちは式典に向けて一生懸命準備してきました。
キーホルダーづくり
この日は、訪れる人たちに渡すためのお土産づくり。花の鉢植えを作る班や、学校の写真を撮ってポストカードにする班など、4つのグループに分かれて進めています。
調理室ではお土産にするお菓子の試作が行われていました。
児童
「もう少し青入れればいい?」
「少しだけね」
寒天と砂糖で作る「琥珀糖」です。
清野地区にはお年寄りも多く、色がきれいな和菓子を渡したいという子どもたちの想い…。清野小の卒業生で、フードスタイリストの宮沢史絵さんがサポートします。
児童は「卒業生の人たちにも楽しんでもらいたいし、喜んでもらいたい」
児童は「すごい悲しい。でも楽しく終わりにしたい」
“来てくれる人を楽しませたい”思いを1つにして2か月かけて準備しました。
式典当日、体育館は、学校との別れを惜しむ卒業生や地域の人、300人以上でいっぱいになりました。
児童
「閉校記念式典のテーマ、『うれしくて楽しくて、これから頑張ろう』の思いが伝わるように全員で精いっぱい頑張ります。どうぞお聞きください」
この日のために練習してきた音楽劇でおもてなし
演じるのは国語で習った「スイミー」。
赤い魚のきょうだいの中で、一匹だけ真っ黒に生まれた「スイミー」が最後は、勇気を出して大きな魚に立ち向かう物語です。
その姿に、閉校に向き合ってきた自分たちを重ねました。
6年生も1年生も。堂々としたセリフでおよそ20分間、見事に演じ切りました。
保護者
「感動しちゃいました。がんばったねって言ってあげたいです。」
卒業生
「みんなで支援して、頑張って子どもたちの成長を見守ってやりたいと思います」
児童は
「楽しかった。緊張もしたけど、みんなで一緒にスイミーをできてうれしかった」
児童は
「ニコニコしてくれていて、楽しんでくれていてよかったです」
式典では、訪れた人が校内を自由に見学する時間も。
教室に用意されたのは…
48年前に作られた「清野かるた」です。地区のシンボルを題材にしたオリジナルかるたで、当時は、一軒に1つずつ配られたといいます。今回は、卒業生や地域有志でつくる「ありがとう清野小運営委員会」が式典に合わせて復刻しました。
地元住民
「子どもが小学校の時にもらってきたカルタですので。何十年前。懐かしいですね。」
昔を懐かしむ場所は他にも…
卒業生
「記憶にあるのはスケート。(学校の南側が)大里と言って湿原だったんですよ。だから冬も水があったんで氷が張るから。めちゃくちゃ寒いの。防寒着なんてないんだから。半てんとかさ。」
卒業生
「いろいろな思い出がある小学校なので、閉校となると寂しい思いもあるんですけど、たくさん思い出をいただいたので、きょうは感謝の気持ちも込めて(楽しみたい)」
40年ぶりの再会を果たすグループもありました。
元教師と教え子
「教え子たちです。初めて学校の先生になってここへ赴任したんですよ。絶対最後までに一回は来たいなと思っていて。そうしたら子どもらが電話くれて、こういう会があるから来いと。ありがたいの一言です。」
子どもたちが用意したお土産で式典はしめくくり。思いを込めたきれいな色の琥珀糖は地元の菓子店に依頼、無事、渡すことができました。
今後は、来年から統合される松代小学校との交流行事も控えています。
小林和子校長
「松代小学校へ楽しく通えるように、生活を作っていくとともに、最後残り少ない日数ですけど、一日一日を大切にできることをやりたいなと思っています」
開校から138年。22人の子どもたちが先輩や地域の人から受け取ったバトンを最後のその日までつないでいきます。