【秋サケ不漁】「定置網にもほとんど見当たらず」際立った不漁に漁業関係者は危機感 岩手
この15年ほどで深刻化している秋サケの不漁についてです。今シーズンは、ここ数年の中でも際立った不漁となっていて、漁業関係者は危機感を募らせています。
24日日曜日、宮古市田老で行われた「鮭・あわびまつり」。三陸の秋の味覚が並ぶ人気のイベントです。
特に多くの人が集まっていたのが「秋サケ」の売り場。新巻鮭は、正月の贈り物として今も人気で、多くの人が買い求めていました。
購入した人 「値段は高いけど、高くても欲しいです。新巻鮭はやっぱりなくてはならないですね。子どもたちもだいすきなので」
飛ぶように売れる秋サケですが、十分な量は確保できていません。
販売店の店主 「これは北海道、これが田老」
Qことしどうですか、鮭は「とれない…、とれない」
Q去年と比べてどうですか「とれない」
新巻鮭1本の値段は6,000円から1万円ほど。記録的な不漁だった去年と比べても1.5倍ほどの値段で、ひと昔前には考えられなかった高値となっています。
25日の宮古市魚市場です。早朝の岸壁では、定置網の漁船が次々に水揚げをしていました。この日多く獲れていたのはイワシ。こちらの船はおよそ38トンを水揚げしました。ほかにも、ヒラメやブリなどの魚が次々に揚がりますが、この時期、定置網の主力になるはずの「秋サケ」はと言うと、ほとんど見当たりません。
Qサケはどうですか?
漁師「サケ?なんぼいたーべ。10本以下。サケはいませんよー」「困ったーね。サケの定置網なんだどもね」
結局、先ほどの船がこの日水揚げしたサケは11本だけ。魚市場全体でも67本しか上がりませんでした。1日平均3万本から4万本獲れていた、15年ほど前までの全盛期と比べると雲泥の差です。ここ数年でみても、ことしは特に不漁が際立っています。
岩手県漁連 山崎義広会長
「去年から比べてもですね、極端に少なくなっているんですよ。去年もあまりいい成績ではなかったんですけど、今、この時点で半分くらい」
県のまとめによりますと、今年度、沿岸で獲れた秋サケは11月10日現在でおよそ5千匹。過去最低の水揚げ量となった去年のわずか54.8パーセントと、ほぼ半分になっています。
漁獲量を過去5年で比べると、2019年度は11月10日時点で、471トン獲れていましたが、年々減少して今年度は12.5トン。5年前の2.7パーセントまで落ち込んでいます。漁獲金額も20分の1以下に激減。県漁連も打つ手がない状況です。
山崎会長
「いま、一番苦しいときと思ってますので、それを乗り切っていくには、それぞれ節約していくのはいきながら、次は何か別に今までに代わる別のが来る、獲れるまで頑張って行こうかなという事しか出来ないですよ」
定置網漁を長年支えてきた三陸の秋サケは、まぼろしの魚になってしまうのか。
関係者は、漁が最盛期を迎える12月に少しでも持ち直してほしいと願っています。