【被害】ヤマザクラの樹皮 大量にはぎ取られる 何者かが転売目的で盗んだか 岩手県軽米町
9月13日、岩手県軽米町の山林でヤマザクラの樹皮が大量にはぎ取られる被害が見つかりました。
樹皮は工芸品の材料になるということで、警察に被害届が出されました。
山口記者の取材です。
安藤賢さん
「倒されたり皮がはがされている木の種類はヤマザクラです。ヤマザクラの皮は“樺細工”に使われる材料です。うちでは誰も許可してませんが、こんな形になってしまいました」
黒く点々と残っているのが樹皮で、幹に皮はほとんど残っていません。
ヤマザクラの被害が見つかったのは、軽米町小軽米の山林です。
山口知己記者
「被害に遭ったヤマザクラはこのように根本から切り倒され、先の方まで皮がごっそりはぎ取られていることがわかります」
被害にあったヤマザクラは、およそ30本。
いずれも鋭い刃物のようなもので切れ目を入れて皮がはぎ取られていて、15本は根元から切り倒されていました。
家族がこの山の所有者で近くに住む安藤賢さん。
13日、山で栗拾いをしていた安藤さんの家族が被害に気づきました。
安藤さん
「本当に悲しい。力が抜けてきますね」
ヤマザクラの樹皮は樺細工などの工芸品に使われます。
樺細工が盛んな秋田県角館町の工芸協同組合によりますと、ヤマザクラの皮は、1キロあたり1200円から1300円ほどで取引され、樹皮を取る職人が減少していることなどから価格が上昇しているそうです。
安藤さんによりますと、9月上旬、県外ナンバーのトラックと4~5人で山に出入りする不審な人物を家族が目撃したということです。
また、ピンク色のテープで木がある場所を示すように山の入り口にテープが張られていたこと。
一部の木に黄色のテープが巻きつけられていたことなどから、事前に目印をつけて何者かが転売目的でヤマザクラの樹皮を盗んだとみて、警察に被害届を提出しました。
県内ではこれまでにも盛岡市や雫石町などでたびたびヤマザクラの皮がはぎ取られる被害が発生しています。
自身もヤマザクラの木で工芸品を作っている宮大工の安藤さんは、憤りを隠せずにいます。
安藤さん
「その材料はどこから取られたのか、誰が採取したのかというところまで思いをはせてもらえるともしかしたらこういう被害は、少しずつ減っていくのかもしれない」
角館町工芸協同組合では、樹皮を取る職人に認定証を交付するなどして不正防止対策を取っているということです。
今回の被害について、警察で捜査を進めています。