発生する花粉の量が半分以下のスギ 種子を採るためのビニール温室が山形県内にも整備
将来的に花粉症の患者が少なくなるかもしれません。花粉の少ない品種のスギの増産に向けた新たな山形県の施設が完成し23日、報道関係者に公開されました。
寒河江市の県森林研究研修センターに12月5日に完成したのはスギの種子を採るためのビニール温室です。これまでは屋外で種子を採るための親木を交配させていましたが、屋内で行うことで受粉を高める効果があります。
県森林研究研修センター宮下智弘・主任専門研究員「スギ花粉を循環させるためにこのファンを使ってハウス内で花粉を循環させて受粉を効率的に効果的にする」
交配に使われるのは「特定母樹」と呼ばれる品種です。「特定母樹」は国が指定する品種で在来品種と比べて1.5倍以上の成長が見込めることや曲がりが少ない特徴があります。さらに、注目されるのが発生する花粉の量が半分以下という点です。国では、70年前(1954年)から成長のよい木を集めて交配。花粉症対策の他、良質なスギになるといった優秀な特徴をもつ木を「特定母樹」として選び出してきました。県森林ノミクス推進課によりますと県内のスギの人工林は2000年時点で15万9000ヘクタールあり、今後、伐採後に植栽する際、「特定母樹」を普及させていく方針です。
県森林研究研修センター宮下智弘・主任専門研究員「成長のよいスギを選んでいるので林業をする上でも有利な品種になる。スギ花粉が気になっていると思うが、花粉の少ないスギなので花粉症も少なくなるのではと考えている」
種子を採るのは2年後の秋を予定していて、種子の量は年間3キロから5キロを見込んでいます。