高速道路の惨事防ぐには 連休中の移動はぼんやり運転に注意 適切な車間距離を
YBC news every.では新たな特集「THE 現場検証」をスタートします。私たちの暮らし結びつく身近な出来事の現場を取材し、その背景や影響を探ります。初回は、悲惨な死亡事故につながりやすい高速道路での交通事故の危険性に迫ります。
事故当時のリポート「山形道の事故現場です。車体の元の色が分からないほどに焼け焦げてしまっています。事故の激しさが伝わってきます」
去年5月2日、鶴岡市の山形自動車道田麦俣トンネル内で車同士が正面衝突し炎上。1歳の男の子を含む3人が死亡、2人が大けがをする惨事となりました。
大型連休で県内を旅行中に起きた事故でした。
事故が起きたのは午後2時15分ごろ。田麦俣トンネル内で鶴岡方面に走行していた横浜市の男性が運転する車がセンターラインを越え、対向車線の車と正面衝突。車はその後炎上しました。この事故で、センターラインをはみ出した車の後部座席に乗っていた24歳の女性と1歳の男の子、衝突された車に乗っていた73歳の女性が死亡しました。双方の車の運転手もそれぞれ大けがを負いました。
当時、横浜市の男性は庄内地方へ観光に向かう途中でした。捜査関係者によりますと、男性は事故当時、前をよく見ておらずハンドル操作を誤ったことが事故につながったとみられ、ことし1月、過失運転致傷の疑いで書類送検されています。
小坂憲央アナウンサー「対面通行のトンネル内は逃げ場がありませんから、対向車が来ると慎重になります」
事故があった田麦俣トンネルは、全長1921メートルで片側一車線のトンネルです。
悲惨な事故の再発を防ごうと事故後、現場一帯では新たにさまざまな対策が実施されました。
事故からまもなく1年。現場はどう変わったのか。実際に走行して取材しました。
小坂アナ「田麦俣トンネルが近づいてきました。もうこのあたりしっかりと振動を感じます。凹凸路面になっています。この凹凸路面は田麦俣トンネルに入るまで続きます。田麦俣トンネルに入りました。まず目についたのがセンターポールです。従来のオレンジに加えて青いポールが等間隔に連なっているのが分かります。これは目立ちますね。あと道路の両脇に四角いマークがずっと続いています。これも以前は無かったものです。トンネルの上の部分、青い光で照らされていますね。これも以前は無かったんじゃないでしょうか。こちらのトンネル内以前に比べると運転しやすくなった気がします」
対策で重視されたのは「ぼんやり運転の防止」です。
県内の高速道路での事故の傾向や危険性について県警高速隊に聞きました。
県警高速隊鶴岡分駐隊佐藤雄介隊長「ぼんやり運転による事故、あるいは疲れによる運転集中に欠いた事故が多い傾向にある。特に最近はそう。長距離を運転して疲れているとき、これからの時期がそうだが暑さによって疲れが生じて意識ははっきりしているが頭が回らない状態に陥ってぼんやり運転につながることが多い。ぼんやり運転による路外逸脱による単独事故、対向車線はみ出しによる対向車両との衝突事故が多い傾向にある」
県警高速隊によりますと、県内の高速道路で起きた事故のおよそ半数はこうしたぼんやり運転などで「前をよく見ていないこと」が原因だといいます。
去年1年間に県内の高速道路では人身事故が35件発生し、5人が亡くなり、54人がけがをしました。件数、死傷者数ともに過去10年間で最も多くなっています。
ことしも今月16日に東北中央自動車道の米沢八幡原インターチェンジで乗用車が出口付近の分岐点に衝突。助手席に乗っていた75歳の女性が死亡する重大事故が発生しています。
高速道路での事故は命にかかわる危険に直結します。ぼんやり運転などを防ぎ事故を起こさないことが大切な一方、事故に巻き込まれないことも重要となります。
県警高速隊鶴岡分駐隊佐藤雄介隊長「無理のない運転計画を立てて車間距離をしっかりとってもらって、前の車が事故を起こした時に安全に止まれる速度で走行してもらえれば」
県内の高速道路の最高速度は区間によって70キロまたは80キロに制限されています。実際に車両を使って事故に巻き込まれない安全な車間距離を示してもらいました。前を走る車との追突事故を防ぐために大切なキーワードは「3秒間」、そして「60メートル以上の車間距離」だといいます。
県警高速隊鶴岡分駐隊佐藤雄介隊長「時速70キロであれば3秒間で約58メートル走行するので最低60メートル以上は車間距離を保ってもらいたい。パトカーと普通乗用車を設置しましたが、このくらいの距離になる。高速道路を通るときはこれ以上の車間距離を確保していただければ」
5月6日までの大型連休期間中県内の最高気温は連日、25度前後まで上がる予報で、「ぼんやり運転」が起きやすい状況になる見込みです。疲れや眠気といった異変を感じたらすぐに最寄りのパーキングエリアで休憩することが事故を防ぐ一つの方法です。
一方で、県内の高速道路のパーキングエリアは5か所、サービスエリアは1か所と一定時間休憩できる場所は限られています。
事前にどこで休憩するのかを決めておくことも悲惨な事故を防いで命を守るために重要なポイントです。