【激務】多い日は1日250個の配達…物流の“2024問題”、規制対象外の「業務委託」ドライバーに密着 休みなく12時間働いて約2万4000円「僕自身いい仕事」と話す理由とは…
いわゆる“2024年問題”で、今年働き方が激変した物流業界。年末の繁忙期を迎え、分刻みで荷物を届ける宅配ドライバーに密着しました。
(Q:荷物は何点くらいある?)
『万事屋うっちゃん』ドライバー・黒川颯汰さん(23)
「70件くらいです」
(Q:これをどれくらいで配る?)
黒川さん
「大体2~3時間くらいで、いつもやっています」
今年も残すところ あと5日。年末にかけて荷物の量は通常時の約2倍になるなど、宅配業界は今、繁忙期を迎えています。
黒川さん
「お歳暮だったりキャリーバッグとかクリスマスプレゼントも。全然桁が違うくらいのレベルで荷物が到着します」
京都市上京区のエリアで大手宅配業者の荷物を下請けとして運んでいる業務委託のドライバー、黒川颯汰さん(23)。3年目の配達員です。
千葉から帰省してきた人
「実家に帰ってくるのに荷物を入れて、でも重くて。自分の着く時間に合わせて(宅配してもらった)ちょうど着替えて下りてきたところ」
(Q:タイミング完璧ですね)
「もうバッチリ。便利です」
黒川さんは多い日は1日に250個の荷物を運ぶといいますが、今年は例年にない、ある背景事情が。
それがいわゆる、物流の“2024年問題”。法改正によって今年の4月から物流業界は残業時間の規制が強化され、これまでと同等の荷物量が運べなくなっています。
しかし、黒川さんのような「業務委託」のドライバーは、まだ規制の対象外。大手ではさばけなくなった荷物が回ってきているのです。
(Q:荷物が増えることはうれしい?)
黒川さん
「ドライバーからしてもやっぱりうれしいです、売り上げがあがるので。その反面、夜遅くまでかかることもある。お客さんの希望している時間ギリギリになったり」
朝8時半から勤務を始め、ようやく食事にありつけたのは午後3時を過ぎたころ。繁忙期のドライバーに休憩時間はありません。さらに、ドライバーたちの負担になっているのが、「不在」と、それに伴って発生する「再配達」です。
黒川さん
「結構あります。(不在の場合)お客さんの手元に渡っていないので、僕らにとっても売り上げにはならない。(再配達のために)一日一回はお伺いをできるだけしないといけない、保管されている期間は。それが荷物が増える理由のひとつになっている」
こうした忙しいドライバーの助けとなっているのが、家の前や指定された場所に荷物を置いていく「置き配」です。
黒川さん
「今年の後半くらいからだいぶ増えてきて、こちらとしては不在も出ないし、だいぶ助かっている」
最近は荷物を入れてもらうボックスや置き配を促すステッカーなど、ドライバーの負担を減らすグッズを取り入れる人も増えているといいます。
黒川さん
「配達員さんがかわいそうやし、手間やしなって思ってもらえれば。お客さんの意識が変われば、工夫してくれるじゃないですか。確実に減りますね、負担が」
この日、黒川さんが仕事を終えたのは午後8時半。12時間の勤務で140個ほどの荷物を運びきりました。日当は約2万4000円ほどです。
しかし、この日「不在」は40件にまで上りました。激務で“キツイ”と言われる物流業界。「注文したら、すぐ届く」という便利な生活を黒川さんのようなドライバーたちが支えています。
黒川さん
「自分で配達する荷物を決めたり、自分で休憩時間とかも決められる、ある程度自由度が高い仕事で、これだけお客さんから直接感謝の言葉を伝えてもらえる仕事は、僕自身いい仕事だなと思っている。この業界自体まだまだ人が必要なので、いろんな仲間がもっと集まってくれればいいな」